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仙台出張の夜、祝杯をあげた先…
Fさんの心の隙間を埋めたのは、部下のKさん(30歳)でした。Fさんの部下の営業所長がリクルートした営業社員。前職は住宅メーカーの営業職です。仕事の飲み込みはいまいちで営業成績はぱっとしないものの、人当たりがよく、支社のムードメーカーでした。プライドの高い男性営業社員が多い会社のなかで、Kさんは明るい性格で、支社長のFさんが特に目をかけるようになったのです。
入社から一年が過ぎたころ、営業先が枯渇して困っているKさんに、Fさんは自分がかつて販売した法人客への追加販売を任せることにしました。仙台にある中小企業へ2人で出向き、Fさんがすべての商談を行い、追加契約をもらって、Kさんの成績とするのです。これでKさんが営業成績の査定をクリアできるという目論見でした。
仙台での商談は夕方から。大きな金額の商談となりましたが、支社長Fさんの力によって無事申し込みとなりました。喜びを爆発させるKさんと仙台でそのまま祝杯をあげようということになり、その夜は県内のホテルに宿泊することに。そして、そこで支社長Fさんは部下であるKさんと関係を持つに至ったのです。
FさんがKさんにのめり込むのに時間はかかりませんでした。Kさんとは、妻Mさんとはできない会話ができ、仕事の悩みも打ち明けられる。それを受け止めてくれるKさんに、Fさんは少しずつ依存しはじめました。
支社のメンバーからは支社長によるKさんへの付け替え成績に対し、露骨なえこひいきだという批判が起きているようでした。Kさんの担当の営業所長も、支社長に感謝しつつ、あまりにも契約が大きすぎてほかのメンバーが不満を持っていると懸念を伝えてきました。
支社長FさんはKさんと密会する機会が増えると同時に、支社のメンバーにみられる危険を感じ、遠方で待ち合わせをするようになりました。北陸新幹線を使って軽井沢まで行き、そこで会うのです。Kさんと会う回数は急速に増え、二人とも会社には仕事と偽って逢瀬を重ねるように。
その後もFさんがKさんに契約を付け替えることが続き、Kさんは社内表彰制度に入賞するほどでした。その急な変化に支社メンバーの不満は日増しに大きくなり、部下の営業所長数名からも、「支社長の付け替え契約は金融庁の監督指針でも不正行為とされています」と、コンプライアンス違反を正すよう忠言されました。
「そもそも、決算書も読めないKさんがどうやって法人契約の意向を確認したのですか? Kさんが自分の力で法人のニードを把握できたとは思えませんね」と、Kさんの能力にそぐわない契約内容について、営業所長たちは一斉に支社長を批判しはじめます。
しかし口先でごまかすFさん。Fさんは仕事よりも不倫関係に夢中になっていました。「お前ら所長連中が新人を教育できないから俺が代わりに成績を作ってやっているんだろう!」とFさんが声を荒げる場面もありました。
営業所長は冷静に問いただそうとします。
「支社長、正直にいうと、支社長とKさんが不倫しているのではと噂している社員もいます。どうなんですか」
鼻で笑って無視をするFさんでしたが……。