高齢者の住まいとして存在感が増している「老人ホーム」。入居が決まったとき、多くの家族は安堵し、そこで「ゴール」したかのように錯覚します。しかし、老人ホームへの入居は、あくまで新しい生活のスタートに過ぎません。 入居時には完璧に見えても、時間の経過とともに綻びが出ることも。一度は手に入れたはずの安住の地を去らなければならない、または自ら去る決断をすることも珍しくはありません。今回みていくのは、高級老人ホームに入居したある女性のケースをみていきます。
年金月16万円・78歳母、〈高級老人ホームのダイニング〉にポツンと1人…2ヵ月ぶりに面会に来た45歳娘に「帰りたい」と涙した「まさかの理由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者施設は「人間関係」が最大の地雷

株式会社LIFULL senior/LIFULL 介護による『介護施設入居実態調査 2025』によると、「入居一時金はいくらだったか」の問いに対して、「なし」が最多の25.4%。「50万円未満」が17.2%、「50万~100万円台」が17.0%、「200万~300万円台」が14.0%と続きます。また月額費用は「20万円台」が27.3%と最多で、30万円を超えるのは22.3%と少数派。これらの結果からも、タカコさんが入居を決めた老人ホームが“高級”と呼んでも差し支えないでしょう。

 

一方で高齢者向け施設への入居を検討する際、多くの家族は「建物の新しさ」「食事の豪華さ」に意識が行きがちです。しかし、入居後の生活の質(QOL)を最も左右するのは、実は「他の入居者との人間関係」であるケースが少なくありません。

 

老人ホームは「集団生活」の場。タカコさんの事例のように、閉鎖的な空間では、入居者同士の距離感が近くなりすぎることで摩擦が生じやすくなります。特に、自立度が高い入居者が多い施設では派閥ができたり、独自ルールが形成されたりするケースも。

 

ハード面(設備)はパンフレットや見学ですぐに分かりますが、ソフト面(入居者の雰囲気や人間関係)は見えにくく、入居して初めて気づくことも多いでしょう。だからこそ、「家族にぴったりの老人ホームへの入居が決まった」と安心するのではなく、入居後の生活にも気を配り、その施設のコミュニティに馴染めるかどうかを見極める視点も大切なのです。

 

[参考資料]

株式会社LIFULL senior/LIFULL 介護による『介護施設入居実態調査 2025』