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「なぜ当たり前のようにご飯が出てくると思ってるの?」妻の爆発
都内の私鉄沿線にある一軒家で暮らす田中昌子さん(58歳・仮名)。50歳を過ぎてからは、子育てもひと段落したので、近所のスーパーで早朝パートを始めました。結婚33年目を迎え、最近の悩みといえば、定年退職を迎えた夫、健一さん(60歳・仮名)の存在だといいます。
健一さんは典型的な昭和生まれの男性。仕事優先で、家事や育児は昌子さんに任せきり。平日は深夜帰宅、休日は接待ゴルフか家で寝ているだけ。それでも昌子さんは「夫は家族のために戦っている」と自分を納得させ、3人の子どもを育て上げました。
そして60歳で定年を迎えた健一さんは再雇用を選ばず、退職金2,800万円を手に完全引退することに。住宅ローンは完済し、老後資金に不安もありませんでした。
問題は、健一さんが退職後に「理想の夫婦像」を昌子さんに押し付け始めたこと。健一さんは退職当日、「これからは今までできなかった分、お前との時間を大切にするよ」と笑顔で宣言したのです。
その言葉通り、健一さんはどこへ行くにも昌子さんについて回るようになりました。買い物、散歩、果ては昌子さんが友人とランチに行く際にも「俺も行っていいか?」と(冗談っぽく)言う始末。
さらにパートから帰宅した昌子さんを待ち受けているのは、リビングのソファに座ったままの健一さんの「昼飯、まだ?」という言葉でした。
「私がパートで疲れて帰ってきても、夫はテレビを見ているだけ。掃除も洗濯も一切しません。『暇なら自分のご飯くらい作って』と言っても、『料理は女の仕事だろう』の一点張り。ため息しかでません」
ある日、積もり積もった不満が爆発します。昼食にチャーハンを出した際、健一さんが「スープがほしいなぁ」と呟いた瞬間でした。
「『なぜ当たり前のようにご飯が出てくると思ってるの?』と、声を荒げてしまいました。私も働いていますし、夫は一日中家にいるのだから、自分のことくらい自分でやってほしいと言ったんです」
しかし、健一さんの反論は、昌子さんの想像を超えるものでした。
「夫は顔を真っ赤にして、『誰のおかげで今の生活があると思ってるんだ!』『俺は40年間、家族のために身を粉にして働いてきたんだぞ。飯を作るくらいでガタガタ言うな!』と、テーブルを叩きながらひどく怒りました。もう反論する気力すら失いました。この人には何を言っても無駄だと……」