(画像はイメージです/PIXTA)

近年、富裕層や資産家のあいだで注目を集めている「不動産小口化商品」。とりわけ「任意組合型」のスキームは、単なる投資商品にとどまらず、相続・贈与対策の実務において非常に有効なツールとして、税理士や資産管理の専門家から高い関心を集めています。本記事では、任意組合型商品がなぜ相続・贈与対策に有効なのか、その仕組みと効果、さらに実務上の注意点や活用の工夫について、専門家の視点から詳しく解説します。

任意組合型の効果を最大限に生かすには、「設計」がモノをいう

任意組合型を効果的に、かつ安心して活用するためには、組成段階での設計の丁寧さがなにより重要です。相続・贈与対策としての機能を十分に発揮しつつ、税務署からの否認リスクを抑えるためにも、次のような工夫が求められます。

 

・持分割合の設計

均等に分配するのか、それとも「後継者中心」「資産分散重視」といった目的に応じた割合にするのか。持分比率は、相続後の紛争防止にも直結するため、最初の段階での設計が肝心です。

 

・分配ルールの明記

利益分配や追加出資の方法を、契約書や重要事項説明書に具体的かつ透明に明記しておく必要があります。曖昧なルールは、相続人間のトラブルや税務署からの「実体性欠如」の指摘につながりかねません。

 

・第三者性の確保

税理士や弁護士といった外部専門家をスキームに関与させることで、客観的な監督機能を付加できます。専門家の意見書や署名があるだけで、税務署からの信頼性も格段に高まります。

 

・契約書・重要事項説明書の整備

契約書のなかに、単なる出資契約としての条項だけでなく、課税関係の整理や将来の税務リスクに関する説明も盛り込むべきです。事前に「課税リスクを理解したうえで参加している」ことを明確にしておくことで、後日の紛争や否認を防ぐことができます。

 

こうした工夫を積み重ねることで、税務署に対しても「形式的な節税スキーム」ではなく、実体ある投資スキームであることを示せます。結果として、否認リスクを最小限に抑えつつ、安心して任意組合型を相続・贈与対策に活用できるのです。
 

任意組合型は、「節税商品」ではなく「承継インフラ」

任意組合型不動産小口化商品は、単なる「節税商品」ではありません。

 

・相続税評価額の引下げによる資産圧縮効果
・贈与を通じた次世代への計画的な資産移転
・実体性を伴った投資スキームとしての信頼性
・専門家関与による透明性と安心感

 

これらを組み合わせることで、任意組合型は「相続・贈与対策のインフラ」としての価値を持ちます。

 

資産承継の現場で求められるのは、単なる税負担の軽減ではなく、家族間での円滑な資産移転と将来の安心です。任意組合型は、その両方を満たす仕組みとして、今後さらに広く活用されていくでしょう。
 

 

辻 哲弥

税理士

 

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