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塾選びの「入口」と「出口」のギャップ
東京都教育委員会『令和5年度公立学校統計調査報告書』によると、都内の小学校卒業者は、合計9万6,575人。うち私立中学校に進学したのは1万9,521人。東京都では5人に1人が地元中学校ではなく、私立中学に進学しています。もはや、中学受験するのは当たり前、という状況です。
受験率が高止まりするなか、多くの家庭が悩むのが塾選び。保護者は何を基準に塾を選んでいるのでしょうか。株式会社メディアエクシード/塾ナラが、塾・予備校への入塾経験がある子どもとその保護者400名を対象に行ったアンケート調査によると、「塾選びにおいて、重視したポイント」として、保護者・生徒ともに最も多かった回答は「自宅からの距離」。次いで「料金」「講師の質」が続きます。注目すべきは保護者向けの質問である「塾の良かったところは?」という問い。塾選びの「入口」では「通いやすさ(距離)」が最重視されたにもかかわらず、入塾後の満足度、すなわち「出口」での評価は、「子どもの学力が上がっている」が僅差ながらトップとなりました。
淳子さんは「先生の力強い言葉」や「大手塾の実績」を信じて入塾を決めましたが、結果として長男の特性に合わず、成績は伸び悩みました。当初は「通いやすさ」や「料金」といった条件が優先されがちであるものの、最終的な満足度は、淳子さんが得られなかった「学力向上」という本質的な成果によって決まる、というのが塾選びの現実です。
そして淳子さんが最終的に決断できなかった「転塾」。ツナガル中学受験(CUEBiC Inc.)が過去5年以内に中学受験(一般入試)を経験した子どもの保護者を対象に行った調査によると、中学受験生の41%が「転塾」を経験していることが判明しました。また「転塾した子」と「しなかった子」、志望校合格率はそれぞれ80.97%と、62.79%と、約18%もの差が生じていました。
親の選択によって合否が左右されがちな中学受験。「もしあのとき、転塾させていたら……」。淳子さんの後悔は、まだ色濃く刻まれています。
[参考資料]
・東京都教育委員会『令和5年度公立学校統計調査報告書』
・株式会社メディアエクシード/塾ナラ『【保護者と生徒400名に聞く!塾選びのホンネ調査】「費用」「口コミ」を超えて塾選びで最も重視された項目とは?』