家賃高騰が止まりません。長年住み慣れたマンション・アパートでも、突然の大幅な値上げ通知を受け、途方に暮れるケースが増えています。もしある日突然、法外な家賃を請求されたら……私たちが取りうる法的な対抗策についてみていきましょう。
もう、私たちどこに住めばいいの…家賃5万円アップの通知に70代母が絶句。慌てて新居を探す42歳娘が気づいた「もう東京は一般人が住むところではない」厳しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

突然届いた「家賃5万円値上げ」の通知書

「まさか、こんなことになるなんて。母は『私たち、どこに住めばいいの』と絶句してしまって…」

 

中村美紀さん(42歳・仮名)。母の静江さん(72歳・仮名)と2人の息子と、東京都区内にある築25年のマンション(3DK)で暮らしています。15年前に父が亡くなったのを機に同居を始め、現在の家賃は15万円。静江さんの年金と、派遣社員として働く美紀さんの収入で、平穏に暮らしてきたといいます。

 

その生活が一変したのは、先月届いた1枚の「賃料改定通知書」でした。

 

「契約更新の時期ではなかったのですが、管理会社から封書が届いて、母が中を見て言葉を失っているから何かなと思っていたら、『来月から賃料を20万円に改定します』と。目を疑いました。5万円アップ。あり得ないでしょう」

 

慌てて管理会社に電話で問い合わせると、理由は「近隣物件の賃料相場高騰によるもの」の一点張り。オーナーの意向が強硬であることも伝えられました。

 

美紀さんはすぐに、現在住んでいるマンションの周辺で、新しい住まいを探し始めました。しかし、そこで目の当たりにしたのは、絶望的な現実でした。

 

「今と同じ3DK、駅徒歩10分圏内という条件で探すと、20万円どころか、22万円、23万円の物件ばかり。とても手が出ません」

 

条件を大幅に譲歩し、築年数を30年以上に広げ、駅からバス便になるような物件まで検索範囲を広げても、家賃18万円を切るような「普通の部屋」は、ほとんど見つからなかったといいます。

 

「10年前に今の部屋を決めたときは、15万円でも十分探せました。それが今や、私たちが普通に暮らせる部屋が、都内からごっそり消えてしまったような感覚です」

 

なぜ、ここまで家賃が高騰しているのか。美紀さんは、新居探しでお世話になった不動産会社の担当者の言葉に、ヒントを見つけます。

 

「『最近は、オーナーさんも強気ですよ』と。少し古くなった部屋も、昔のようにただ家賃を下げるのではなく、お金をかけてリノベーションして、付加価値をつけて高く貸すのが主流になっているそうです。私たちが探していたような、築25年で内装もそこそこの『普通の部屋』はほとんどないようです」

 

家賃高騰の原因はそれだけではありません。円安の影響で、外国人から見れば日本の家賃はかなり割安。クオリティの高い物件がバーゲンセールのように売られ、家賃を引き上げているといいます。

 

「私たち日本人にとっては地獄のような値上げでも、彼らにとってはまだまだ安いのでしょうね。もう東京は一般人が住むところではないのかもしれません」