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「高額当選者の70%が破産」は都市伝説…本当の恐怖は別にある
日本国内で高額当選者の追跡調査をすることはプライバシーの観点から困難ですが、米国では、当選者の「その後」に関するいくつかの有名な言説が存在します。最もセンセーショナルなものとして、「高額当選者の約70%が、わずか5年以内に全資産を失い自己破産する」という説があります。あるいは「当選者の約3分の1が、数年以内に破産状態に陥る」という33%説も。多くの人はこれらを聞いたことがあるかもしれません。
実は、これは信用できる一次情報が存在しない「都市伝説」の類と考えてよいようです。情報源とされるNEFE(全米金融教育基金)は調査自体を否定しており、米国のフロリダ宝くじにおける大規模調査でも、高額当選者も少額当選者も5年後の「破産率」に有意な差はないという結論が出ています。こうしたデマは、「宝くじを買う人は低所得者、教養もないからすぐに自己破産する」という社会的烙印(スティグマ)から増幅されたのかもしれません。
しかしその一方で、サドン・ウェルス・シンドローム(SWS)という言葉が存在します。日本語にすると「突然の富の獲得による心理的混乱症候群」になるでしょうか。これは宝くじに限らず、スタートアップの成功や相続、ギャンブルなどで突然巨額の富を得た人が、人間関係や価値観、アイデンティティが大きく揺らぎ、罪悪感や不安感、孤独感に陥る精神的混乱状態を意味します。
特に、これまで「真面目にコツコツ努力すること」を信条としてきた人ほど、人生の価値観が根底から混乱し、「自分は何者なのか」というアイデンティティの崩壊によって深刻な苦悩を抱えることになるのです。