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実家じまい…多くが「話し合ったことがない」
田中さんのケースは、妻の由美さんが主導する形で「実家じまい」と「同居」が一気に進んだ形です。 しかし、義両親が実家を閉じたように、親が住む家を将来どうするかという「実家じまい」の問題は、多くの子世代にとって無関心ではいられないはずです。
株式会社すむたすが実施した『実家じまいに関する親子間コミュニケーション調査』によると、実家の処分について親子間で「会話したことがない」と回答した人は72.1%。 その理由の多くは「まだ具体的に考えていないから」というものですが、田中さんの義母の体調不良のように、話し合いの必要性は突然やってきます。
この調査では、親世代の75.9%が「今の家に住み続けたい」と回答している一方で、子世代の3割以上が実家の老朽化(33.3%)を感じ、5割以上が「親の身体能力の変化」(55.6%)を懸念しているという実態も明らかになっています。
さらに深刻なのは、実家の処分方法に関する意向のギャップです。 親が亡くなったあと、親世代の30.6%が「子どもや親族に住んで欲しい」と望んでいるのに対し、子世代で「自身が住みたい」と回答したのはわずか13.5%に留まりました。 親は「いずれ子どもが住んでくれるかも」、子は「親は元気だし、まだ先のこと」と考えているうちに、互いの認識のズレが放置されてしまいます。
こうした話し合いの不足と認識のギャップこそが、将来的な空き家問題や相続トラブル、あるいは田中さんのように「突然の同居」による負担の集中という「まさか」の事態を招く火種となるのです。 親が元気で、判断力があるうちに、実家を将来どうするのかを家族で話し合っておくことが、将来のリスクを回避するために不可欠です。
「ローン返済負担は重いし、自分の家なのに気を使う生活は続くし……正直、相当な疲弊感です。 ただ、義両親が来てから、子どもたちは嬉しそうです。また、妻が安心した顔をしているのも事実です。 今は、義実家をどうするかという問題を解決することができたので、これで良しと考えるようにしています」
[参考資料]
株式会社すむたす『【実家じまいに関する親子間コミュニケーション調査】7割以上が『話し合ったことがない』と回答。理由は「まだ具体的に考えていない」が最多』