(※写真はイメージです/PIXTA)
老人ホームの入居と退去…ありがちな3つのミスマッチ
高齢化が進む日本において、老人ホームなどの高齢者施設は、高齢期の選択肢のひとつとして、ますます重要になっています。厚生労働省の資料によると、有料老人ホームの施設数、入居定員数、共に右肩上がりで、2024年には17,246施設、定員673,689人。
一方で、花子さんのように、一度入居したからといって、そのまま終の棲家となるとは限りません。退去の要因は、本人の体調の変化や経済的理由といったやむを得ない理由のほか、花子さんのように、施設や生活環境とのミスマッチなどが挙げられます。
この施設や生活環境とのミスマッチは、入居後の生活の質に大きく関わり、結果として退去に至る重要な要因となります。具体的には、以下のような事例が挙げられます。
1.生活様式のミスマッチ
花子さんのように、終の棲家として選んだ「故郷」のイメージが、実際に入居した施設での集団生活や、地域の変化によって美化された想像と異なり、強い寂しさや失望に繋がってしまうケースです。
2.人間関係のミスマッチ
事前に確認した食事の質やレクリエーション内容が期待と異なるほか、他の入居者との価値観が合わない、あるいは集団生活になじめないといった人間関係のトラブルから、ストレスを感じてしまうことがあります。
3.スタッフへの不信感
入居前の見学時と比べて、実際のスタッフの対応が丁寧さに欠ける、介護サービス内容が事前の説明と違うといったスタッフへの不信感が生じ、施設での生活そのものに耐えられなくなることもミスマッチの一例です。
長きにわたる会社勤めを終え、ようやく手に入れた夫婦水入らずの平穏な時間。しかし、義母・花子さんの「突然の帰京」は健一さんの老後を一転させました。
「まさか、自分たちの老後の心配の前に、また親の老後の心配をする羽目になるとは……夢にも思わなかった」
[参考資料]
厚生労働省老健局 『有料老人ホームの現状と課題・論点について』