順調に見えた住宅ローン返済も、収入減や支出増で困難になることがあります。それは、世間的に「エリート」と呼ばれる人たちも同様。「もう売却しかない」と考える前にできることはないのでしょうか?
もう無理か…ヨイショされて「億ション購入」の〈年収2,000万円〉45歳コンサル男性。〈月30万円のローン返済〉が滞り、限界 (※写真はイメージです/PIXTA)

ローン返済が困難になったら…「売却」以外の選択肢

住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査』によれば、利用した住宅ローンの傾向は、以下の通り。

 

・借入金利…「年0.5%超~年1.0%以下」が最多(45.2%)

・返済期間…「30年超~35年以内」が最多(45.8%)

・融資率(融資額÷住宅価格):「90%超~100%以下」が最多(26.5%)

・返済負担率(年間返済額÷世帯年収):「15%超~20%以内」が最多(24.3%)

・ペアローン:「ペアローン」または「収入合asan」の利用は39.3%

・住宅ローンを選んだ理由:「金利の低さ」が最多(61.0%)

 

一方で、株式会社LIFULL/LIFULL HOME'Sが住宅ローンを利用中の826名を対象に行った調査によると、「住宅ローンを払いきれるかの不安」について、69.9%が「不安」と回答しています。

 

長期にわたるローン返済。その途中、経済状況はもちろん、個人の状況が変わらないとは限りません。返済が苦しくなることもあるでしょう。

 

返済が滞ったまま放置してしまうと、金融機関は担保不動産、すなわち自宅の競売手続きに進む可能性があります。競売になると、市場価格よりも大幅に安い価格で売却されてしまうことが多く、多額の残債だけが残る事態にもなりかねません。

 

池田さんのように「もう売却しかない」と考える前に、まず実行すべきは、借入先の金融機関へのできるだけ早い相談です。返済が苦しくなった事情を正直に説明すれば、金融機関は返済条件の変更(リスケジュール)に応じてくれる場合があります。

 

たとえば、「返済期間の延長」です。残りの返済期間を延ばすことで、月々の返済額を減らすことができます。また、「一定期間の元金据え置き」といって、数年間は利息のみを支払い、元金の返済は待ってもらうといった方法もあります。

 

もちろん、これらの措置には審査があり、総支払額が増えるといったデメリットも存在します。しかし、競売によって強制的に自宅を失う事態を回避できる可能性は十分にあります。返済が厳しいと感じたら、まずは金融機関の窓口を訪ねることが重要です。

 

[参考資料]

住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査(2025年4月調査)』

株式会社LIFULL/LIFULL HOME'S『【25年7月】住宅購入者と購入検討者に『住宅ローンに関する意識調査』をLIFULL HOME'Sが実施』