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不動産会社「あなたなら大丈夫」…年収2,000万円の自信と営業トーク
「まさか、自分がこんなことになるとは思いません、でした……」
池田大輔さん(仮名・45歳)。都内のコンサルティングファームに勤務し、年収2,000万円ほど。世間一般から見れば、まぎれもないエリートです。池田さんが都内のタワーマンションを購入したのは4年ほど前のこと。物件価格は当時で1億円を超えていました。
「正直、少し背伸びをしている自覚はありました。しかし会社から近く、不動産会社の営業担当者からも『池田様クラスですと、これくらいの物件は普通ですよ』、『年収2,000万円なら、フルローンもいけます。まったく問題ありません』と強く勧められまして」
自身の稼ぎに対する自負もあり、営業担当者からのヨイショは、池田さんにとって悪い気はしませんでした。「あなたなら大丈夫」という言葉に加えて、何よりも家族がこのタワマンを気に入ったことが購入の後押しになりました。
住宅ローンは月30万円ほどを30年で返済――返済負担率は15%ほど。まったく問題はなく、むしろローン負担は軽いものでした。繰上げ返済をして、早々に身軽になるつもりだったといいます。購入後しばらくは、順調に返済を続けていました。月30万円の返済に加え、ボーナスも併用しており、当時の収入からすれば、十分に払っていける計算でした。しかし、状況が変わり始めたのは約1年半前から。
「担当していたクライアントの業績が悪化し、私のインセンティブが大幅にカットされたんです。コンサル業は成果主義ですから、収入の変動は覚悟していましたが、これほど長期化するとは想定外でした」
月収換算が60万円台に落ち込む月も出始めたところ、追い打ちをかけたのが子どもの進学です。ちょうど次男が私立中学に入学するタイミングと重なり、教育費が想定以上にかさみました。収入が減り、支出は増える。月30万円のローン返済は、急速に家計を圧迫し始めました。
「最初のうちは貯蓄を取り崩してなんとか返済していましたが、それもそろそろ限界で……返済が滞ることもあるんです」
金融機関からの督促の連絡が、池田さんを現実に引き戻しました。「ローン返済が苦しいから引越す……プライドもありますが、もう難しい。このマンションは売却する方向で進めています」