(※写真はイメージです/PIXTA)
心内表象がエピソード記憶となると、いつでも思い出すことができる
【問題】
1.さやかちゃんは何を買いに出かけましたか?
2.さやかちゃんのリュックの模様は何でしたか?
3.まいちゃんのレッスンバッグは何色でしたか?
4.地図を持って道を聞いてきた人は、どんな帽子をかぶっていましたか?
5.交番はどこにありましたか?
6.帰り道、空はどんなふうに見えましたか?
さて、いかでしょうか。すべて解けましたか。
ここでの重要なポイントは、あなたがこの文を「どのように記憶したか」なのです。文を丸暗記しようとする方もいらっしゃるかもしれません。ですが、それはとても効率が悪いのです。
通常は、このような文を聞いたり読んだりすると文脈が「心内表象化」されます。自分の知っている風景、あるいは心の中で自分なりに風景を作り出します。そして、その風景を伴った物語は、まるで自分が体験したかのような「エピソード記憶」となるのです。
「エピソード記憶」とは出来事に時間や順序があり、特定の場所・場面とともに記憶されます。それは自分の経験として記憶され、思い出の形式を取るのです。
したがって、この記憶は人によって異なります。たとえば「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という文を見聞きすると、実際にその場へ行ったことのある人はその景色を思い出すでしょうし、現地を見なくても自分の知っている雪国を想像する人もいるでしょう。
また、雪を見たことがない人は、それなりの景色を想像するはずです。このように自分の経験に照らし合わせて心内表象化が行われ、それがエピソード記憶となるのです。そして、心内表象がエピソード記憶となると、それは体験しているのと同じです。記憶しようとしなくても、心に刻まれることになるのです。そして、思い出そうと思えば、いつでも思い出すことができます。
友達のまいちゃんはこれからどこに行きますか? そして、何を買いますか?と問われれば、あなたも即座に「駅ビル」「プリン」と頭に浮かんだのはないでしょうか。これこそが「理解」ならびに「エピソード記憶」なのです。
船津 洋
株式会社児童英語研究所
代表取締役所長