大阪市の中古マンション市場は、この9年間で価格が約6割も上昇しました。「うめきた」再開発を追い風に北区が圧倒的な上昇率を記録する一方、データはその常識を覆す「意外な区」の躍進も示しています。万博を控えるベイエリアの将来性も含め、大阪不動産市場の今と未来とは?
大阪マンション価格…9年で2.2倍超の「北区」を猛追する「意外な区」の正体 (※写真はイメージです/PIXTA)

大阪マンション市場…都心部が牽引する価格上昇、「キタ」と「ミナミ」の現状

マンションリサーチ株式/マンションナビが2016年9月から2025年9月までの9年間のデータを分析したところ、大阪市における中古マンションの平均売買平米単価は約58%も上昇していることが明らかになりました。同期間の大阪府全体の上昇率65.5%と比べるとやや控えめながらも、関西経済の中心地として、その資産価値が着実に高まっている様子がうかがえます。

 

大阪市のマンション市場を語る上で欠かせないのが、都心部である「キタ」と「ミナミ」の存在です。「キタ」は、JR大阪駅や梅田駅周辺を指す北区・福島区を中心としたエリア。大阪を代表するビジネスと商業の中枢であり、近年は「うめきた2期地区開発(グラングリーン大阪)」をはじめとする大規模な都市再生プロジェクトが進行しています。オフィス、商業施設、そしてタワーマンションが融合した街づくりが進むことで、そのブランド価値は一層高まりました。

 

調査データを見るとその影響は一目瞭然。2025年9月時点での北区の平均売買平米単価は102万円に達し、9年前と比較した価格上昇率は実に126.5%と、大阪市24区のトップ。福島区も平米単価76万円と高水準を維持しており、職住近接を求める層からの安定した需要が続いています。

 

一方、「ミナミ」は、中央区・浪速区・天王寺区を含むエリア。なんばや心斎橋といった巨大な繁華街を抱え、インバウンド需要の恩恵を最も受ける地域のひとつです。観光と商業のイメージが強いエリアですが、居住地としての側面も持ち合わせています。

 

特に上昇が著しいのは中央区で、9年前比で87.5%の上昇率を記録し、平米単価は87万円。タワーマンションの供給が相次ぎ、都心居住の利便性を求める層からの人気を集めています。また、天王寺区は文教地区としての落ち着いた住環境が評価され、ファミリー層を中心に根強い人気を誇ります。上昇率は75.9%、平米単価は70万円と、こちらも堅調な推移です。浪速区は、新世界や日本橋といった個性的な街があり、比較的価格が手頃なことから投資対象としても注目されています。