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共育ての実感がある家庭は、幸福度が20%高い
この「共育て実感」は、家庭全体の幸福度にどれほどの影響を与えているのでしょうか。今回の調査では、ウェルビーイング研究の第一人者である武蔵野大学の前野隆司教授が提唱する「幸せの4因子」を基に、幸福度を数値化しています。
その結果は、極めて示唆に富むものでした。「共育て実感がとてもある」と回答した家庭の幸福度は平均85.40ポイントだったのに対し、「全くない」と回答した家庭は68.20ポイントと、その差は約17.2ポイント、割合にして約20%もの開きが見られたのです。
調査全体の幸福度の平均値は78.06ポイントでしたが、共育て実感が「ややある」以下のグループでは軒並みこの平均値を下回っており、「共育てが十分にできている」という強い実感が、家庭全体の幸福感を大きく押し上げていることが、客観的な数値によって裏付けられました。
共育て実感と幸福度の両方に深く関わっている要素として、調査が特に注目しているのが「感謝の言葉」です。配偶者やパートナーから感謝の言葉をかけられる頻度を尋ねたところ、共育て実感の度合いによって驚くべき差が現れました。
共育て実感が「とてもある」家庭では、57%が「毎日感謝の言葉をかけられている」と回答しています。しかし、共育て実感が「全くない」家庭で「毎日ある」と答えた人はゼロでした。それどころか、「感謝の頻度があまりない・ほとんどない・全くない」と回答した人が合計で8割を超えるという結果になっています。
日々の生活の中での「ありがとう」という一言が、単なる気遣いにとどまらず、共に支え合っているという実感を生み、ひいては家庭全体の幸福度をも左右する、極めて重要な鍵であることが示唆されています。
では、より具体的に、どのような育児への関与が共育て実感につながるのでしょうか。配偶者やパートナーがどの程度育児に関わっているかを項目別に分析したところ、興味深い傾向が見られました。
共育て実感の有無にかかわらず、最も関与度が高かったのは「遊び相手」でした。しかし、共育て実感が「とてもある」家庭では、「病児対応」「食事準備」「寝かしつけ」「保育園や習い事の送迎」といった、より日常的で責任を伴う行動においても、「習慣的に行っている」または「ときどき行っている」と回答する割合が顕著に高い傾向にありました。
楽しい時間を共有するだけでなく、子どもの体調が悪い時に寄り添ったり、日々の食事や寝かしつけ、送迎といった生活に欠かせないタスクを共に担ったりすることが、本当の意味での「共育て」という実感につながっていくと考えられます。
[参考資料]
株式会社カラダノート『1,046 名のママ・パパ調査/共育て実感がある家庭は幸福度が 20%高い。そのカギは「ありがとう」と「会話・相談」。』