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「子の夢」と「老後」の天秤…50代世帯を襲う教育費のリアル
文部科学省の調査によると、私立大学の初年度納付金は平均で約136万円、4年間の学費総額は平均で400万円を超えます。さらに、日本学生支援機構(JASSO)の『令和4年度 学生生活調査結果』によると、自宅外から私立大学に通う学生の場合、学費と生活費を合わせた年間の支出は平均で約230万円にものぼります。4年間で1,000万円近くかかる計算です。
一方、文部科学省の資料によると、1年以上の留学経験者の留学総費用は、100万~200万円未満が21.1%、200万~300万円未満が13.7%、300万~400万円未満が7.4%、400万~500万円未満が7.0%、500万円以上は15.2%。留学期間によって、国内の大学進学以上の費用を想定しなければなりません。
また海外の大学によっては、留学生の授業料を母国人学生より高く設定している国もあります。たとえば米国のカリフォルニア大学は、母国人であれば約188万円ですが、留学生は約632万円です。英国のケンブリッジ大学では、母国人は約154万円に対し、留学生は約389万円となっています。ドイツのハイデルベルク大学は、母国人は無料で、留学生は約43万円です。
そのような海外留学では、82.1%の学生が「自費や仕送り」で資金を調達しています。返済不要の給付型奨学金を利用したのは7.1%など、奨学金を活用した人は1割にも満たない状況です。
月収80万円の健介さんは高収入世帯に分類され、ひとり娘の留学費用など余裕と思われるかもしれません。しかし、目前に迫る定年と「老後2,000万円問題」を考えれば、いくらかかるかわからない娘の留学費用に対して、すぐに「はい、わかりました」と即答できるわけではないでしょう。
「娘が合格した大学であれば、金銭的にも、娘の将来を考えても安心です。しかし、それだけで娘の夢を否定することはできません。いったん話を聞いたところ、何とかサポートできそうだと分かり、挑戦は1回だけという約束で、娘は合格した大学を蹴ることにしたのです」
親の許しを得た未来さんは希望の大学を受験。見事合格を手にし、海を渡ったそうです。
[参考資料]
文部科学省『国公私立大学の授業料等の推移』、『私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』、『日本人学生の海外留学状況、及び 外国人留学生の在籍状況調査について』