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三大支出が家計を圧迫する「ミドルクラスの罠」
厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、子育て世代(児童のいる世帯)の平均所得額は820.5万円。一般的にみれば高岡さん夫婦は、かなり余裕があると考えられます。
しかし、一定の収入がありながらも家計が厳しい状況に陥るケースは、決して珍しいことはありません。総務省統計局『家計調査 家計収支編』によると、二人以上の勤労者世帯のうち、世帯主が40~49歳の家庭では、消費支出に占める「教育」の割合が他の年代に比べて突出して高くなる傾向があります。子どもが中高生になるこの時期は、教育費も一段と高くなるタイミングです。
ここに「住宅ローン」の返済がプラス。特に都市部では物件価格が高騰しており、家計に占める住居費の割合は依然として大きいままです。そして、親世代が高齢化するなかで「親の介護費」という新たな負担が、40代・50代の肩に重くのしかかり始めます。
この「教育費」「住宅費」「介護費」という三大支出が同時に発生し、家計を圧迫する構造は、まさに「ミドルクラスの罠」。高収入だからこそ、この3つの支出を妥協なく賄えるとも考えられますが、収入分だけ支出も増え、結局家計が苦しいというわけです。さらに収入が増えれば所得税の累進課税や社会保険料の負担も増え、手取りの伸びが鈍化するという現実も、この罠をさらに深刻なものにしています。
この状況から抜け出すためには、まず固定費の見直しが不可欠。通信費や保険料など、一度契約したままになっているものがないか、改めて精査する必要があります。同時に、NISA(少額投資非課税制度)などを活用し、将来のために計画的な資産形成を始めることも重要です。
また、国の教育ローンや、介護保険の「高額介護サービス費制度」など、利用できる公的制度は積極的に情報を収集し、活用の検討も。高収入だからという慢心は捨て、家計の現実を直視。具体的な行動を起こすことが、未来の安心につながる第一歩となります。
[参考資料]
厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』
総務省統計局『家計調査 家計収支編』