不動産調査会社の東京カンテイによると、2025年7月の東京23区中古マンション(70㎡)価格は「平均1億477万円」でした。平均価格が「億超え」となるなか、自分にとっての適正価格を見極めることはもちろん、働き方や優先順位、そもそも住宅を購入するかどうかなど、自身の価値観と資産状況をふまえて慎重に考えなければ、せっかくマイホームを購入しても家計が破綻してしまいかねません。37歳・共働き夫婦の事例をもとに、マイホーム購入検討時のポイントをみていきましょう。
こんなの誰が買うんだよ...世帯年収1,200万円の37歳・共働き夫婦が絶望。夫が“スマホを放り投げた"「23区・中古マンション」の実態【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

現役世代のための「住宅購入計画」のすすめ

住宅購入を検討する方からよく聞かれるのが「いくらまでなら買える(借りられる)のか?」という問いです。

 

多くの場合、住宅は、ローンを組んで購入することになります。借りられるかどうかは、勤務先、勤続年数等さまざまな観点から審査が行われ、このうち返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)は重要な要素です。

 

審査基準は各金融機関により異なりますが、一般的には「返済負担率30~35%以下」が目安とされています。

 

たとえば、年収1,200万円で、1億円を金利1%、期間35年、ボーナス返済なしで借り入れた場合、月返済額は28万2,286円(年返済額約339万円)で、返済負担率は28.2%となります。

 

ただしこれはあくまでも目安であり、実際には自身の家計状況を考慮して「無理なく返済できるかどうか」を慎重に見極める必要があります。

 

そのため、理想的な返済負担率は「手取り収入の20~25%程度」に抑えたいところです。

 

仮に、借入額を7,000万円(金利、期間は上記同様)とした場合、月返済額19万7,600円(年返済額約237万円)で返済負担率19.8%と、返済負担率は20%を下回ります。

 

一方、社会保険料や税負担を含めた年収で計算するよりも、実際に受け取る手取り金額から逆算で考えたほうが、住宅購入後の生活をイメージしやすいかもしれません。

 

たとえば、月あたりの手取り金額が60万円の世帯の場合、月返済額28万2,286円では負担が大きすぎるでしょう。また、7,000万円を借り入れて月返済額19万7,600円まで抑えたとしても、現在の家計状況を鑑みて負担が大きいと感じた場合には、購入する物件価格を下げるのか、そのほかの支出を抑える必要があります。

 

当然ながら、金利や期間によって月返済額は変わります。いずれにしても、住宅ローンは「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら無理なく返せるか」を基準に考えることが大切です。ただ、いざ欲しい物件があると、なかなか冷静に見極められなくなるのだと、実際の相談を受けながら痛感します。

 

また、夫婦2人の収入合算で住宅ローンを組むのか、片方のみが組むのかについても、働き方などこれからのライフプランをふまえて考えたいところです。