不動産調査会社の東京カンテイによると、2025年7月の東京23区中古マンション(70㎡)価格は「平均1億477万円」でした。平均価格が「億超え」となるなか、自分にとっての適正価格を見極めることはもちろん、働き方や優先順位、そもそも住宅を購入するかどうかなど、自身の価値観と資産状況をふまえて慎重に考えなければ、せっかくマイホームを購入しても家計が破綻してしまいかねません。37歳・共働き夫婦の事例をもとに、マイホーム購入検討時のポイントをみていきましょう。
こんなの誰が買うんだよ...世帯年収1,200万円の37歳・共働き夫婦が絶望。夫が“スマホを放り投げた"「23区・中古マンション」の実態【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅購入を考え始めた37歳会社員夫婦の場合

世帯年収1,200万円の共働き夫婦(夫:37歳、年収750万円/妻:37歳、年収450万円)は、保育園に通う子どもの送り迎えや家事を分担しつつ、忙しい毎日を送っています。

 

結婚当初から暮らす都内の賃貸マンションは、子どもの成長とともに手狭となってきたこともあり、将来を見据えた住宅購入について話す機会が増えてきました。

 

「教育環境を考えると文京区がいいよね」

「文京区なら通勤も便利だし、生活環境もよさそうだね。」

 

妻の言葉に同意しつつ、夢は膨らみます。

 

何気なくスマホで検索していた夫が突然声をあげました。

 

「なんだこれ!」

 

驚いて、手を止める妻。

 

「中古マンションでも1億円超えなんて……こんなの誰が買うんだよ。普通の会社員じゃ無理だぞ」

 

Aさん夫婦は、文京区の物件価格を見てがく然としました。念のため、周辺の区も調べてみましたが、いずれも想定をはるかに超える金額でした。

 

「こんなの調べても意味ないよ」と思わずスマホを投げる夫を眺めつつ、「やっぱり、私たちには無理なのかな…」と意気消沈するAさん夫婦でした。

一般人には手が届かない…東京23区「中古マンション」の実態

不動産情報サービスを提供する東京カンテイ(本社:東京都品川区)によると、2025年7月の首都圏中古マンション価格は、12ヵ月連続で上昇しています。また、70平米以上のファミリータイプの平均価格は、東京23区で1億477万円。なんと、平均価格が1億を超えました。さらに、人気の都心6区(千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・渋谷区)では1億6,699万円と、驚くほどの価格帯となっています。