順調なキャリアと安定した高収入。そんな自信を背景に、「そろそろ資産運用でも」と投資を始めると……。本記事では橋本俊さん(仮名)の事例とともに、高収入であるがゆえに初心者が陥りがちな投資の罠について、FP dream代表FPの藤原洋子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、内容の一部を変更しています。
恵まれすぎていました…〈世帯年収1,600万円〉ともに大企業勤務、親の贈与で1億円超のタワマン購入。「30代安泰夫婦」がラウンジで聞いた「儲け話」で、資産と夫婦仲を両方失う悲惨な結末【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「とりあえず投資」の落とし穴

橋本さん夫婦は、すべてを失ったわけではありませんでした。しかし、その後の暮らしは悲しいものでした。多額の損失を埋め合わせようと、日々の生活を切り詰めるようになったそうです。夫婦関係は修復できなくなってしまったのです。

 

「いままで、恵まれすぎていたんですね……」俊さんが零しました。

 

1,600万円という高収入は、橋本さん夫婦の無計画な行動を正当化する根拠にはなりません。むしろ高収入であるという自信が、投資のリスクに対する感覚を麻痺させてしまったのでしょう。

 

「とりあえず投資」は危険です。投資の目的や目標額を明確にして、計画的に行いましょう。生活を守るための資金を確保したうえで、投資は、当面使う予定のない余裕資金で行うのが基本です。また、自己責任のもとに行い、周囲の人の意見や情報を鵜呑みにせず、自分で判断する力を養うことが大切です。

 

お金があるからこそ陥る落とし穴に気づき、賢く計画的に資産形成を進めることこそが、未来を守る唯一の方法ではないでしょうか。

 

〈参考〉

金融庁 安定的な資産形成に向けた金融事業者の取り組み状況 P5
https://www.fsa.go.jp/news/r2/kokyakuhoni/202102/20210226_kpi_kohyo.pdf

 

 

藤原 洋子

FP dream

代表FP