(※写真はイメージです/PIXTA)
年金世代の生活は、想像以上に厳しい
総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』よると、65歳以上の単身高齢者(女性)の平均的な消費支出は月15万5,923円。また厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』によると、収入は年金のみという高齢者は43.4%。平均的な生活を送るのであれば、毎月5.6万円もの預貯金を取り崩さないといけない、という状況の高齢者が4割強ということになります。
また同じ厚生労働省の調査では、高齢世帯の25.2%、実に4世帯に1世帯が「生活が大変苦しい」と回答。この物価高のなか、収入が限られる高齢者世帯は追い詰められています。
また生命保険文化センター『生活保障に関する調査(2022年度)』では、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額平均23.2万円、ゆとりある生活を送るためには月額平均37.9万円。この差額からも、多くの人が理想とする生活と現実との間に大きな隔たりがあることがうかがえます。
こうした経済的な厳しさがありながら、親は子どもに「助けて」とはなかなか言えないもの。そこには「子どもに迷惑や心配をかけたくない」という親心や、「これくらいのことで弱音を吐きたくない」というプライドがあるのでしょう。一方で、子どもとしても「親が大丈夫と言っているのであれば大丈夫だろう」と楽観視するもの。そうなると、SOSのサインを見逃してしまうことも。
年金で生計を立てている高齢者の暮らしは、てっきり現役世代よりも楽だと思っていたという健一さん。しかし、生活を切り詰めて、切り詰めて、それでも息子には安心させたいと笑顔を向ける……そんな事実を知り、母への申し訳なさと自分の不甲斐なさに、涙が止まりませんでした。
正面切って「お金、困っているんだろ」といっても、母が首を縦に振ることはないことはよく知っています。どうしたらさりげなく母をサポートできるか――いろいろと考えを巡らせているといいます。
[参考資料]
総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』
厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』