(※写真はイメージです/PIXTA)
同僚絶句の節約術
先日、Aさんは親しくしている同僚のBさんに誘われ、たまにはプチ贅沢をしようと外食に出かけました。食事のあと、「せっかくだからもう1杯」という話になります。内心「2軒目はちょっとな……」と思ったAさんは、外食先が自宅近くだったこともあり、自宅での飲み直しを提案します。
Aさんの自宅を初めて訪れるBさん。節約を徹底していると話す友人が、一体どんな暮らしをしているのか、少し楽しみでもありました。古いアパートでしたが、部屋の中は整頓され、物が少ない印象です。窓際には手作りプランターでプチトマトなどが育てられており、「さすが節約の王道だね」と話していたBさん。壁際に水の入ったペットボトルが数本並んでいるのが、少し気になりました。
「トイレ、使わせてほしい」とBさんが告げると、Aさんから驚きの言葉が返ってきます。
「あ、トイレは、そのペットボトルの水で流してね」
「災害でもないのに、故障? 大変だね」とBさんが尋ねると、Aさんは悪びれもなく答えました。水道代がもったいないから、普段は近くの公衆トイレを使い、夜など行かれないときのために、公園などで汲んできた水をペットボトルに貯めている、と。トイレの水だけでなく、プランターの水やりにも使っているそうです。
さすがに、やりすぎではないか……。Bさんは、開いた口が塞がらないほどの節約術に、ただただ驚くしかありませんでした。
「節約」ではなく「犯罪」?
後日、BさんはAさんに「その方法は節約術というより、窃盗罪になる可能性があるから控えたほうがいい」と助言しました。「窃盗罪」と聞いて驚いたAさんは、新たな節約術を考えることにしたといいます。
さまざまな節約術がありますが、「節約」とは、あくまでムダを省いて消費を切り詰めることです。しかし、公共施設の水道から水を無断で持ち去る行為は、節約とは呼べません。公園や公衆トイレの水道は、自治体などが公共の利用のために管理しているものです。目的外の利用は、犯罪になる可能性も十分にあります。
節約に励むことは大切ですが、法律に抵触するようなことがないよう、正しい知識を持って実践しましょう。
総務省:2024年(令和6年)平均消費者物価指数の動向
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
厚生労働省:毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/24cp/dl/pdf24cp.pdf
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表