ダイエットと聞くと「糖質オフ」が真っ先に思い浮かぶ人もいるでしょう。実際のところ初めのうちは効果的なのですが、糖質を控えるだけでは次第に痩せにくい体になってしまうと肥満・脂肪肝の専門医である尾形哲氏はいいます。そこで本記事ではダイエットのステップアップに欠かせない「タンパク質」を摂取できる食品について、尾形氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(KADOKAWA)より、42歳女性の事例をもとにみていきましょう。
ダイエット中、どうしても「間食」したくなったら…専門医がすすめる「2つの食べ物」
糖質オフに慣れたらタンパク質をプラス
「あとは、次回からはぜひ、タンパク源をプラスしてください」
「えっ、ダイエット中でせっかく体重が減っているのに、食品を加えるんですか?」
「そうです。最初の1カ月はまず糖質の摂取を控えて、余計な脂肪を減らすことに重きを置いて体重を減らしてきました。でも、それだけでは体は弱ってしまうばかりか、筋肉が落ちて痩せにくくなるんです。だから、筋肉量を減らさない、できれば増やすようにしていくのが、ここからの食事スタイルです」
「そうなんですね。わかりました」
「野菜スープに卵を1つ落としたり、豚こま肉やとりつくねを入れたり。ツナ缶、サバ缶などで魚介を加えればうま味も増すでしょうし、豆腐を加えるのもいいでしょう。手間の少ない方法で、何か1つタンパク源を足してみてください」
なるほど。いろいろとアレンジがききそうだ。
「タンパク源を加えることでお腹も満たされるので、空腹対策にもなりますよ。毎食タンパク質を20~30g摂れるとバランスのよい食事になります。肉と魚は100gでタンパク質量20gです。それから、卵1個、納豆1パック、豆腐3分の1丁、無糖ヨーグルト150gは、それぞれタンパク質量が7gです。なので、この中から3つ選べばタンパク質量21gになりますね。ぜひ参考にしてみてください」
「はい。野菜スープに加えるのは、ベーコンやウインナーでもかまいませんか?」
「問題ありません。ただ、ベーコンやウインナーは、別の観点から注意したいこともあります。ちょうど由美さんにお伝えしようと思っていたことなので、このあと説明しますね。ちなみに、納豆、豆腐、ゆで卵、サラダチキン、ツナ缶、さば缶、チーズはタンパク質摂取のために常備しておきたい〝神セブン〟です」
〈先生からの処方箋〉
脂肪肝には、毎食20~30gのタンパク質を確保せよ!
尾形 哲
長野県佐久市立国保浅間総合病院
外科部長/「スマート外来」担当医