〈本記事の登場人物〉

■中川　由美さん（42歳・女性）

中学2年になる娘をもつ母。肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善を専門とする『スマート外来』で精密検査を受け、「脂肪肝」になっていることが判明する。改善のためには減量する必要があると医師に告げられ、3カ月で5㎏痩せることを目標にダイエットを開始。1カ月が経過し、今後のダイエットの方針を決めたりアドバイスをもらったりするために再び『スマート外来』を訪れたところ、加工食品に含まれる「果糖ぶどう糖液糖」の話になり……

止められない食欲は超加工食品のせいだった！

「ベーコンやウインナーのような加工食品には、とうもろこしから人工的に作られた『果糖ぶどう糖液糖』という糖質が入っていることが多いんです。ブドウ糖よりも甘く、冷凍焼けを防ぐ、簡単に混ぜやすい、パンなどを軟らかくする、焼き目をうまくつけられるといった特徴があるので、食品メーカーにとっては好都合な添加物です。そのため、清涼飲料水をはじめ、ドレッシング、ソース、トマトケチャップ、麺つゆといった調味料、菓子パンなど、ありとあらゆる加工食品に幅広く使われています」

「甘くないものにも入っているんですね」

「そうです。甘くないからと摂取しがちですが、脂肪肝の人にとってはできるだけ避けたいものです。ただ、果糖ぶどう糖液糖の完全オフは不可能と言えるほど、幅広い食品に添加されています。なので、①甘い飲み物、②スナック菓子、③カップ麺の3つだけは完全オフというルールにしています」

「加工食品も太る原因になるんですね？」

「そうです。スナック菓子、菓子パン、カップ麺、清涼飲料水などの“超加工食品”を食べすぎると、2型糖尿病や肥満リスクが上昇することがわかっています。果糖ぶどう糖液糖入り、高脂肪、塩分多め、低食物繊維、低タンパク質の超加工食品は、意図して食欲のブレーキがかからないように作られています。肥満リスクを上げるのは当然でしょう」

「甘くなければいいのかと思っていました。気をつけます」

「そうですね。それ以外にも、サプリメントや健康食品と言われる類（たぐい）の補助食品は摂取しなくていいものです」

あっ、と思わず声が出た。

「何か口にしているものがありますか？」

「実は、脂肪が落ちるとかいうサプリをたまに……」

「おやおや。サプリメントにも添加物が含まれているため、それを解毒するのに肝臓に負荷がかかっています。せっかく肝臓をいたわり始めたのですから、サプリメントや栄養ドリンクなどの健康食品は“健康のために”やめましょう。では、ほかになければ今日はここまでにしましょう。次回の目標体重を教えてください」

「2㎏減の62㎏です」

「わかりました。がんばってください」

「はい。ありがとうございました」

空腹を楽しみつつ、タンパク質をプラス、加工食品とサプリメントをマイナスか。

あと2㎏、いけるかな……。

〈先生からの処方箋〉

肝毒性のある超加工食品・サプリを減らそう。引き算があなたを変え、蘇（よみがえ）らせる！

尾形　哲
長野県佐久市立国保浅間総合病院
外科部長／「スマート外来」担当医