(※写真はイメージです/PIXTA)
不遇な状況は、「自分らしい人生」を考えるタイミング
転機から5年がたち、「転機も必要だったのかな……」とようやく思えるようになりました。おそらく人生のなかで最も自分と向き合ったからだと思います。会社員の安定を選ぶ自分と、それを望まない自分との葛藤です。30年以上も会社員として働き「一体いままでなんのために働いてきたのか?」と自分への問いがスタートでした。
「これからの人生、どうしたいか?」「自分らしく生きるには、どうすればよいか?」そのようなことを絶えず考えていました。いろいろなことが頭をよぎりましたが、結局出た答えはシンプルでした。
これからは「やりたいことをしよう!」「自分の人生は自分でつくっていこう!」と決めました。「これからは自由に働きたい」「組織に縛られない働き方をしたい」そういった心の声でした。転機から5年もの時間がかかりましたが、現在の働き方は、こうして皆さんにおすすめできるまでになりました。そう思うと転機も必要だったのかもしれません。
まだ転機の渦中で苦しい思いをしている人を思うと、軽々しく「転機は好機」などといえません。しかし、以前の私と同じように「自分と向き合う時間」が増えたのではないでしょうか? きっと、人生を考える時期だと思います。あなたにも、いろいろな思いがめぐっているでしょう。その思いは、あなた自身に向いているでしょうか? 会社や他人に向いていませんか? これからなんのために働きますか? 定年まで働くイメージができているでしょうか?
私は定年まで5年もの時間を、期待されていない環境で過ごすイメージをもてませんでした。60歳で定年退職を迎える日、大勢の社員のまえで花束をもって「現役引退宣言をする自分」もイメージできなかったです。
一方で、転機となる出来事がなければ、自分の人生を深く考えることなく、60歳定年まで会社に残っていたでしょう。間違いなく、この本も出版していない人生です。
どちらが正解かはわかりません。ただ、転機に経験したつらかったこと、悔しかったことは忘れたくても忘れられず、人生の推進力になっていることはたしかです。一生答え合わせはできないと思いますが、せめて人生のおわりに「あのときの選択が正解だった」といえるように、まえに進んでいくだけだと思っています。
竹本 和広
セカンドキャリアコーチ
株式会社ライフシフトラボ 複業トレーナー
※本記事は『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。