50代は、これまでのキャリアを振り返るなかで、「このままでいいのか?」という迷いや葛藤と向き合う時期でもあります。特に、不本意な人事や収入減といった“転機(=不遇な状況)”を経験した人にとっては、自分の価値を見失い、将来に希望を持てなくなることも。本記事では、竹本和広氏の著書『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)より、50代の転機に対する向き合い方をみていきます。
30年も働いたのに…54歳で降格・給料激減。6年後の定年退職日に花束をもって「現役引退宣言」をする夢、散る。“おわった人”扱いの絶望 (※写真はイメージです/PIXTA)

不遇な状況は、「自分らしい人生」を考えるタイミング

転機から5年がたち、「転機も必要だったのかな……」とようやく思えるようになりました。おそらく人生のなかで最も自分と向き合ったからだと思います。会社員の安定を選ぶ自分と、それを望まない自分との葛藤です。30年以上も会社員として働き「一体いままでなんのために働いてきたのか?」と自分への問いがスタートでした。

 

「これからの人生、どうしたいか?」「自分らしく生きるには、どうすればよいか?」そのようなことを絶えず考えていました。いろいろなことが頭をよぎりましたが、結局出た答えはシンプルでした。

 

自分らしい人生を送る=やりたいことをする

 

これからは「やりたいことをしよう!」「自分の人生は自分でつくっていこう!」と決めました。「これからは自由に働きたい」「組織に縛られない働き方をしたい」そういった心の声でした。転機から5年もの時間がかかりましたが、現在の働き方は、こうして皆さんにおすすめできるまでになりました。そう思うと転機も必要だったのかもしれません。

 

まだ転機の渦中で苦しい思いをしている人を思うと、軽々しく「転機は好機」などといえません。しかし、以前の私と同じように「自分と向き合う時間」が増えたのではないでしょうか? きっと、人生を考える時期だと思います。あなたにも、いろいろな思いがめぐっているでしょう。その思いは、あなた自身に向いているでしょうか? 会社や他人に向いていませんか? これからなんのために働きますか? 定年まで働くイメージができているでしょうか?

 

私は定年まで5年もの時間を、期待されていない環境で過ごすイメージをもてませんでした。60歳で定年退職を迎える日、大勢の社員のまえで花束をもって「現役引退宣言をする自分」もイメージできなかったです。

 

一方で、転機となる出来事がなければ、自分の人生を深く考えることなく、60歳定年まで会社に残っていたでしょう。間違いなく、この本も出版していない人生です。

 

どちらが正解かはわかりません。ただ、転機に経験したつらかったこと、悔しかったことは忘れたくても忘れられず、人生の推進力になっていることはたしかです。一生答え合わせはできないと思いますが、せめて人生のおわりに「あのときの選択が正解だった」といえるように、まえに進んでいくだけだと思っています。

 

 

竹本 和広

セカンドキャリアコーチ

株式会社ライフシフトラボ 複業トレーナー

 

※本記事は『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。