マイホームは人生で最も大きな買い物のひとつです。理想を詰め込み、夢をかたちにしたはずの住まいが、思いもよらぬ「落とし穴」によって揺さぶられることもあります。期待に胸をふくらませた先に待っている現実は、時に甘美ではなく苦いものとなるのです。
こんなはずじゃなかった…〈年収1,200万円〉45歳サラリーマン、8,000万円の注文住宅に絶句。入居初日に気づいた「致命的ミス」に涙 (※写真はイメージです/PIXTA)

理想の城…その予算は8,000万円

都内で働く田中誠さん(45歳・仮名)。年収は1,200万円と、平均を大きく上回ります。家族は、フリーランスで働く妻(42歳)と、育ち盛りの長男(10歳)、長女(7歳)の4人家族です。これまで都内のマンションで暮らしていましたが、子どもたちの成長とともに手狭になってきたこと、そして「いつかは自分の家を」という長年の夢を叶えるため、注文住宅を建てることを決意しました。

 

「子どもたちが走り回れる庭のある家が理想でした。私は田舎の出身ですし、妻もガーデニングが趣味なので、戸建てへの憧れは夫婦共通でしたね。どうせ建てるなら、自分たちのこだわりを詰め込んだ、世界に1つだけの家にしたかったんです」

 

そう語る田中さんの表情からは、当時の期待の大きさがうかがえます。土地探しには1年を費やし、都心へのアクセスも良好な郊外に理想の土地を見つけました。そこからハウスメーカーとの打ち合わせを幾度となく重ね、家族の要望をすべて盛り込んだ夢のマイホーム計画を進めていきました。

 

吹き抜けのある開放的なリビング、家族と顔を合わせる機会が増えるリビング階段、妻こだわりのアイランドキッチン、そして田中さん自身の夢だった書斎。間取りから壁紙の色、ドアノブの形に至るまで、すべてにこだわりを詰め込みました。

 

土地と建物を合わせた総額は、約8,000万円。国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』によると、注文住宅の平均購入資金(土地代含む)は5,299万円。田中さんのケースは、平均を大幅に上回る金額です。それでも、今後の人生設計と家族の笑顔を思えば、決して高すぎる買い物ではないと信じていました。

 

着工から半年、ついに理想の城が完成。引き渡しの日、真新しい我が家を前に、家族全員で喜びを分かち合いました。

 

「本当に感無量でした。これから始まる新しい生活に、胸がいっぱいで……。この日のために頑張ってきたんだなと、心から思いました」

 

しかし、その幸福感が絶望に変わるまで、そう時間はかかりませんでした。入居から、わずか1日後のことです。