「お子さんの将来のために、学資保険はいかがですか?」「もしもの入院に備えて、医療保険は必須ですよ」子どもが生まれると、家族や保険の担当者から、保険に関するさまざまなアドバイスが寄せられます。しかし、物価上昇や金利の変動など、先行きの見えない現代において、かつての「常識」は必ずしも最適解とは限りません。本記事では、子どもが生まれたら一度は検討する3つの保険(学資保険、医療保険、自転車保険)について、本当に必要なのか、よりよい選択肢はないのか、探っていきます。
まさか、うちの子が加害者に…小学6年生、サッカー帰りの事故で普通の暮らしが一変。家族の悲劇を避ける「月々たった数百円」の保険 (※写真はイメージです/PIXTA)

自転車保険…本当に備えるべきは“加害者”になるリスク

Cさん(40代)の小学6年生の息子が、サッカーの練習帰りに自転車で走行中、曲がり角で高齢女性と衝突。女性は転倒して大腿骨を骨折し、後遺症が残る大怪我を負いました。後に裁判となり、Cさん一家には数千万円もの高額な賠償命令が下されました。「子どものケガは心配していたが、まさか加害者側でこんなことになるとは……」と、Cさんは取り返しのつかない事態に頭を抱えています。

 

「特約」付帯が基本の個人賠償責任保険

子どもに関する保険で、最も優先度が高いのがこの「加害者リスク」への備えです。自転車事故だけでなく、友達にケガをさせてしまったり、お店の物を壊してしまったりといった日常生活での賠償リスクは、常に存在します。

 

近年、東京都をはじめ多くの自治体で自転車保険(損害賠償保険)への加入が義務化されています。このリスクをカバーするのが「個人賠償責任保険」です。しかし、慌てて単体の「自転車保険」に加入する必要はありません。この「個人賠償責任保険」は、

 

・自動車保険の特約

・火災保険の特約

・クレジットカードの付帯保険

 

など、すでに加入している別の保険に「特約」として付帯されている場合が非常に多いです。保険料の相場は、こうした既存の保険に特約として付帯する場合、年間2,000円前後と安価です。月額にすればわずか150円~200円程度の負担で、1億円以上の高額賠償に備えることができます。まずはご自身の保険証券を確認し、もし保障がなければ、いずれかの保険に特約として追加するのが最も安価で効率的です。補償額は1億円以上あると安心でしょう。

リスクの優先順位を見極める

子どもの保険を考えるうえで大切なのは、なんとなくで選ばず、リスクの優先順位を見極めることです。

 

夫婦によって価値観が異なると思います。親や保険の担当者からの勧めを鵜呑みにして、そのまま高額な保険料に変換するのではなく、正しい知識を身につけて、自分たちの価値観に合う内容の制度や金融商品を活用して、効率的に、大切なお子さんの未来を守っていきましょう。