経済的に余裕のあるケースが多い共働き。「共働きだから安心」「共働きだったから安心」――本当にそう言い切れるか、疑問符が付きます。制度の壁が大きく立ちはだかることも珍しくないようです。
おかしいじゃない!〈年金月16万円〉72歳夫が急逝。共働きで支えてきた68歳妻、ずっと扶養内パートだった友人より圧倒的に少ない「遺族年金額」に絶句 (※写真はイメージです/PIXTA)

遺族年金のルールと、「頑張り損」の正体

給付の可能性があるのは遺族厚生年金。給付額は亡くなった配偶者の老齢厚生年金の4分の3が基本となっています。さらに自身が老齢厚生年金を受け取れる場合、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止になるというルールがあります。つまり「老齢厚生年金>遺族厚生年金」の場合、全額支給停止となり、宏子さんはこのケースに当たりました。

 

「ルールをまったく知らず年金事務所に行ったので、1円も受け取れないと知ったとき、思わず『おかしくないですか?』と言ってしまって……恥ずかしいですよね」

 

さらに宏子さん、ずっと正社員として頑張ってきた自分と、夫の扶養のなかで守られてきた友人の年金額を比べたとき、同等か、または友人のほうが多いかもしれない……そんな事実に気づきました。

 

「そもそも経済的に困っていない私みたいな人が、遺族年金をもらえるわけがないのですが……なんか、頑張って働いてきた自分が、バカみたいに思えてきました」

 

宏子さんのように「納得がいかない」という声は少なくはありません。しかし、ルールはルール。宏子さんの場合、遺族年金の給付がゼロ円でも問題ないほどしっかりと資産形成をしてきましたが、遺族年金が頼りというケースであれば一大事でした。複雑な年金制度ですが、どのようなときに、どのように生活を保障してくれるのか――おおよそでも把握しておくことが重要です。

 

[参考資料]

総務省『労働力調査』

日本年金機構『老齢厚生年金』