家族名義の不動産で不動産担保ローンを利用する流れ
不動産を担保にしてローンの借り入れをするためには、抵当権設定登記など法的な手続きが必要です。
ここでは、家族名義の不動産で不動産担保ローンを利用する流れを6つのステップに分けて紹介します。
不動産の名義人から担保提供の同意を得る
まずは、担保として提供する不動産の名義人から、その不動産を担保として提供することへの明確な同意を得ましょう。名義人からの同意を得ることは、法律上求められる要件だけではなく、今後のトラブルを防ぐためにも重要なプロセスです。
そのため、不動産担保ローンの仕組みや、万が一の事態におけるリスクについて、名義人と十分に話し合い、真摯な同意を得るようにしましょう。
家族名義の不動産でも担保にできるか金融機関に確認する
次に、融資を受ける金融機関が、家族名義の不動産を担保として認めているかどうか確認します。これは、金融機関によって、担保として受け入れる不動産の条件や、名義人との関係性の範囲などが異なるからです。
そこで、ローンの申し込みをする前に、まずは電話や窓口で問い合わせを行い、その金融機関での条件を満たしているかどうかや、どのような書類が必要となるのか確認しましょう。このとき、できれば複数の金融機関に相談し、金利等の条件も比較検討することをおすすめします。
融資申込および審査
不動産担保ローンの申し込みにあたっては、「事前申込(仮審査)」と「正式申込(本審査)」という2段階の審査が行われることが一般的です。
事前申込は、比較的簡易的な情報(年収や借入希望額など)に基づいて行われる初期審査であり、大まかな融資の可否や条件を確認するものです。
これに対し、正式申込は、源泉徴収票や確定申告書、住民票、印鑑証明などの融資を受けるのに必要な公的な書類を提出し、より詳細かつ厳密な審査が行われます。また、担保の対象となる不動産の登記簿情報や、名義人である親族との関係性を示す書類(戸籍謄本など)も必要となる場合があるほか、不動産の評価も行われます。
審査の過程で書類に不備があると時間がかかってしまうため、早い段階で必要書類を確認・収集するようにしましょう。
ローン契約の締結
融資審査に通過したら、借入に必要な契約の説明を受けて契約締結を行います。今回のコラムでは契約書の中でも特に重要な「金銭消費貸借契約」と「抵当権設定契約」の2つの契約について説明をします。
「金銭消費貸借契約」は、金融機関から資金を借り入れ、その資金をどのように返済していくかを定める契約です。これには、借入金額、金利、返済期間、返済方法などが詳細に記載されます。
一方、「抵当権設定契約」は、万が一ローンが返済できなくなった場合に、担保として提供した不動産を金融機関が債権回収のために利用できる権利(抵当権)を設定するための契約です。家族名義の不動産を担保にする場合は、名義人に対し、物上保証人としての意思確認が厳格に行われます。
契約内容は複雑な点も多いため、不明な点があれば必ず金融機関の担当者に確認し、納得したうえで署名・捺印するようにしましょう。
抵当権設定の登記手続き
不動産を担保として正式に機能させるためには、金融機関との契約後に「抵当権設定登記」の手続きを行う必要があります。これは、その不動産を管轄する法務局に対して、担保提供された不動産に抵当権がついたことを登記簿上に記載してもらう手続きです。
登記手続きには、不動産の登記識別情報や印鑑証明書、金融機関が用意する抵当権設定契約書などが必要となります。登記手続きには専門的な知識が必要となるため、金融機関が提携している司法書士に依頼することが一般的です。
融資実行
登記手続きが完了すると、いよいよ融資が実行されます。この融資実行をもって、正式に不動産担保ローンを利用開始したことになります。
融資された資金は、ローンの目的に沿って利用しなければなりません。例えば、不動産投資目的で借り入れた資金を自己居住用物件の購入費用に充てることは許されず、仮にこのような目的とは異なる利用が発覚してしまうと、契約は解除されローン残額を一括返済しなければならなくなります。
そのため融資後は、契約で定められた利用目的および返済計画に従って、計画的に利用・返済するようにしましょう。
