(※写真はイメージです/PIXTA)

検査済証は、新築した建築物が建築基準法に基づく検査に適合していることを証明する書類であり、不動産投資においても重要な役割を担います。ただし、検査済証の再発行は認められておらず、古い建物ではそもそも発行されていない場合も珍しくありません。本コラムでは、検査済証がいつ・どこでもらえるのか、ない場合のリスク、紛失した場合の対処法・最初からない場合の対処法について詳しく解説します。

不動産投資について
もっと知りたい方はコチラ>>

検査済証とは?

(画像:PIXTA)
(画像:PIXTA)

 

はじめに、検査済証の概要や目的、建築確認等に関する基本的な知識について解説します。

検査済証の目的・サンプル

検査済証とは、建築物の新築工事が完了した際に、建築基準法などの法令に適合していることを証明するために発行される公式な書類であり、建物の建築完了後に行われる「完了検査」に合格した建物に対して交付されます。完了検査は、建築主事または指定確認検査機関が実施し、建築物が設計図通りに適切に施工され、法的な基準を満たしているかを確認するための重要な工程です。

 

検査済証は、その建物が法律に適合しているという公的な証明となるため、不動産の売買や融資の審査、賃貸契約などの場面で重要な役割を果たします。一般的に、検査済証には建物の所在地や建築主名、交付日、検査機関の名称などが記載されており、建物の法的な安全性や信頼性が第三者にも伝わる仕組みとなっています。

 

検査済証が発行されている建物は、建築後に増改築などがされていない限り、基本的には違反のない建物ということになります。不動産投資において中古物件を購入する際などには、この検査済証の有無が、融資の可否やリフォーム・増改築の際に影響を及ぼすことがあります。検査済証がない物件は違法建築のリスクがあるため、金融機関のローンが付きにくく、将来的な売却に影響を及ぼす可能性があることも考慮する必要があります。

 

※上記はサンプルであり、実際の書類とは書式が異なる場合があります。
※上記はサンプルであり、実際の書類とは書式が異なる場合があります。

 

建築確認・中間検査・完了検査とは?

不動産を購入したり、投資対象として検討したりする際には、建物が法的にどのようなプロセスを経て建てられたのかを知っておくことが重要です。

 

検査手続きには「建築確認」「中間検査」「完了検査」の3種類があり、それぞれに対応する書類も異なります。

まず「建築確認」は、建築工事を着工する前に行われる手続きです。建築計画が建築基準法などの関係法令に適合しているかを確認するもので、これに合格すると「確認済証」が交付されます。

 

次に「中間検査」は、新築する建物が特定工程に該当する場合のみ実施されます。特定工程とは、(1)階数が3階以上である共同住宅の床および梁に鉄筋を配置する工事の工程のうち政令が定める工程、(2)上記以外で、特定行政庁がその地方の建築物の建築の動向または工事に関する状況そのほかの事情を勘案して、区域、期間または建築物の構造、用途もしくは規模を限って指定する工程のことを指します。中間検査が必要かはそれぞれの特定行政庁が決定するため、各自治体の役所で問い合わせる必要があります。

 

中間検査は建築工事の途中で行われる検査で、中間検査が必要と判断された場合には構造の主要部分などが設計図通りに施工されているかを確認します。この検査に合格すると「中間検査合格証」が発行されます。合格しない場合には、特定工程後の工事を続けることはできません。

 

そして最後に行われるのが「完了検査」です。これは、建物がすべて完成した後に実施される最終的な検査であり、建物全体が建築基準法に適合しているかどうかを確認します。この完了検査に合格した際に交付されるのが「検査済証」です。

 

これらの検査と証明書は、建物の安全性や信頼性を示すために非常に重要なものであり、不動産投資のリスク管理にもつながります。そのため、それぞれの検査と書類の役割をしっかりと理解しておくことが大切です。

 

次ページ検査済証はいつから義務化された?ない理由は?