ワンルームマンション投資の「利回り」とは?計算方法を解説
利回りとは、投資額に対してどれだけのリターンを得られるかの収益性を示す指標です。同じ物件価格でも利回りが高ければ高いほど、より多くの家賃収入を見込めることになります。しかし、単に利回りが高ければいいというわけではなく、賃料設定の妥当性や空室リスク、家賃下落リスク、修繕状況や管理状況とのバランスを考慮する必要があります。
利回りには主に「表面利回り」「実質利回り」「想定利回り」の3種類があり、それぞれ計算方法や性質が異なります。以下からは、それぞれの計算方法や活用方法を解説します。
表面利回り(グロス利回り)
表面利回りとは、物件価格に対する年間家賃収入の割合を示すもので、不動産投資において最も基本的な収益性の指標です。表面利回りでは、取得時にかかる諸費用や購入後に発生する管理費や税金、修繕費などの運用コストを一切考慮せず計算します。
計算方法は、次の通りです。
次に、具体的な計算例をみてみましょう。
・物件価格:3,500万円
・家賃収入(年間):156万円(月額家賃収入13万円×12ヵ月)
:表面利回り=(156万円÷3,500万円)×100=4.46%
表面利回りの数値が高い場合、一見すると魅力的ではありますが、実際の手取り収益はここからさまざまな費用が差し引かれるため、実際の利回り(実質利回り)は表面利回りよりも低くなります。
表面利回りは複数の物件を比較する際の目安や、物件の表面上の収益力を把握するには便利な指標です。しかしながら、あくまで物件選定の第一歩として確認する程度にとどめ、最終的な投資判断は、次に解説する実質利回りなどを含めて総合的に判断することが重要です。
実質利回り(ネット利回り)
ワンルームマンション投資では、物件取得時には登記費用や仲介手数料などが発生し、取得後には管理費や修繕費、固定資産税などさまざまな費用が発生します。実質利回りは、物件の取得時や保有中にかかるこれらの諸費用を含めて計算します。前述した表面利回りよりも、より実態を反映した正確な収益性を示す指標になります。
実質利回りの計算式は次のとおりです。
次に、実質利回りの具体的な計算例をみてみましょう。
・物件価格:3,500万円
・購入時諸費用:350万円
※初期費用の相場は物件価格の5~10%程度、ここでは10%として算入。
・家賃収入(年間):156万円(月額家賃収入13万円×12ヵ月)
・諸経費(年間):30万円
※諸経費は家賃収入の10~20%程度、ここでは20%程度として算入。
:実質利回り={156万円-30万円)÷(3,500万円+350万円)} ×100=3.27%
購入時諸費用や運用コストを加味しない表面利回りでは4.46%であるのに対し、実質利回りは3.27%に低下しています。このように、経費支出は投資収益性に大きく影響するため、投資判断にあたっては実質利回りをしっかりと計算して把握する必要があります。
想定利回り
想定利回りは、購入物件の中に空室が含まれている場合における満室想定での収益性を計る指標であり、一棟マンション・一棟アパートなどをはじめ区分マンションでも空室であれば一般的に用いられています。
また、表面利回りと同様に、経費を含まず単純に物件価格に対する満室時の年間家賃収入の割合を示すものです。
想定利回りの計算式は、次のとおりです。
次に、想定利回りの具体的な計算例をみてみましょう。
・物件価格:1億円
・総戸数:7戸
・満室時の年間家賃収入:840万円(10万円×12ヵ月×7戸)
:想定利回り=(840万円÷1億円)×100=8.4%
想定利回りは、あくまで「全室が満室で稼働した場合の最大利益」を表す理想値であり、現実の入居率や空室リスクを反映しているわけではありません。そのため、実際の家賃収入や現在の空室状況、また家賃の設定が周辺相場と乖離していないかについても確認する必要があります。
