両手仲介とは?片手仲介との違いを解説
両手仲介とは、売主から物件の売却を依頼された際に、自社で買主を探してきて売買契約を結ぶ、つまりひとつの不動産会社が売主と買主の双方と媒介契約を締結し、それぞれから仲介手数料を受け取る取引形態を指します。
一方で片手仲介とは、ひとつの不動産会社が売主または買主の片方と媒介契約を結び、仲介手数料を受け取る形態です。例えば買主から依頼を受けた不動産会社が、他の不動産会社が募集している物件を買主に紹介する場合などがこれに該当します。

このように両手仲介と片手仲介では、売主と買主の両方と媒介契約を結ぶか、片方と媒介契約を結ぶかの点で異なります。両手仲介では不動産会社は売主と買主双方の利害を調整する役割を担い、片手仲介では片方の利益を最大化する役割を担うという役割に違いがあります。
不動産会社に両手仲介してもらうメリット
両手仲介は、売主と買主双方から仲介手数料を得られるという点から、一般的に売主や買主よりも不動産会社の側にメリットが大きい取引形態といわれますが、実際には売主や買主にとってもメリットをもたらす場合もあります。ここでは、不動産会社に両手仲介してもらうメリットを3つ紹介します。
交渉の窓口が一本化されるため、手続きがスムーズ
両手仲介では、売主と買主の間に入る不動産会社が1社のみとなるため、交渉や手続きにおいて窓口が一本化されるというメリットがあります。
片手仲介の場合、売主側と買主側のそれぞれに不動産会社が存在します。価格交渉や引き渡し条件、契約内容の調整など、双方の意見をすり合わせる際に、それぞれの不動産会社を経由した複雑なやり取りが発生してしまいます。
しかし両手仲介であれば、ひとつの不動産会社が売主と買主の間に立ち、双方の意向を直接把握しながら、円滑なコミュニケーションをとることができます。これにより、無駄な伝達ミスや認識のズレが減り、問題発生時の迅速な対応も可能になります。
不動産会社が積極的に買主を探してくれる可能性がある
不動産会社が得られる仲介手数料には上限が定められています。例えば400万円を超える物件の売買であれば、「売買価格×3%+6万円+消費税」が仲介手数料の上限になります。
この上限金額は、依頼者の一方から受け取ることのできる報酬額であり、両手仲介では、不動産会社が売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ることができます。片手仲介の倍の仲介手数料を得られる可能性があり、不動産会社にとっては収益性の高い取引となります。このため不動産会社は片手仲介よりも積極的に買主を探し、マッチングさせようと努力する可能性があり、より多くの潜在的な買主にアプローチしてもらえる可能性が高まります。
売却活動のスピードが早くなる可能性がある
両手仲介では、前述した通り1社の不動産会社が売主と買主の双方を担当するため、契約が成立するまでのスピードが早くなる場合もあります。
例えば、片手仲介で買主が売主に対して価格交渉を行う場合、買主と売主との間に不動産会社2社を介することになります。一方、両手仲介であれば1社のみが間に入ります。その不動産会社は売主と買主それぞれの要望も把握していることから、片手仲介と比べて売主と買主双方の調整を行いやすく、取引のマッチングがスムーズに行われる場合があります。
不動産取引においては、買主が売主に対して購入に向けた問い合わせを行った後の交渉や要望の調整はきわめて重要であり、契約成立までの時間を大きく左右しますが、スムーズな調整につながる可能性があるという点において、両手仲介は売主と買主の双方にとってメリットがあります。
