人生の大きな決断である結婚。それは結婚する2人の問題ではありますが、互いの育った環境や家族との関係などが複雑に絡み合い、ときにそれは、未来を大きく揺るがすこともあるようです。
〈年収550万円〉32歳男性、結婚の挨拶に行ったら「門構えが城」…〈大企業の重役〉だという彼女の父を前に、結婚の覚悟が揺らいだ日 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収550万円は「平均」のはずが…拭えぬ劣等感

大学を卒業して以来、都内の中堅メーカーで真面目に働いてきた、田中亮太さん(32歳・仮名)。現在の給与は月収32万円、年収は550万円。どうやら大卒サラリーマンの平均ではあるものの、上場する大企業に就職した大学の同期と比べると、だいぶ低いらしい……比較するものではない、自分は自分と思いつつ、劣等感がないといえばウソになるといいます。

 

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマンの平均給与は月収で40.8万円、年収で673万円。30代前半では平均月収32.5万円、年収549万円。田中さんはまさしく平均的な給与を手にしていました。一方、従業員1,000人以上の大企業に限定すると、30代前半・大卒サラリーマンの平均月収は35.3万円、年収で626万円。月収で3万円、年収で80万円ほどの差ですが、田中さんにとっては大きな差に感じていたようです。

 

それでも悪いことばかりではありません。田中さんは、3歳年下の恋人、高橋美咲さん(29歳・仮名)と、先日婚約。出会いは友人の紹介で、大手広告代理店で働く彼女は、いつも明るく快活。何でもネガティブに考えがちな田中さんを「大丈夫、大丈夫」と励ましてくれる、太陽のような存在だといいます。「給料もまだまだ安いけど……結婚してください」というプロポーズに、「お金なんて関係ない、2人が食べる分くらいあれば十分じゃない」と笑いながらOKしてくれました。

 

内閣府『令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査』によると、20~39歳の既婚男女が「結婚前に相手を求めたこと」として最も多かったのは、男性が「価値観が近い」(57.2%)、女性が「一緒にいて落ち着ける」(59.7%)でした。一方「満足いく経済力・年収」を挙げたのは、男性6.0%、女性28.3%。女性のほうが相手に経済力を求める傾向があります。そのようななか「本当にいい人に巡り会えました。私はラッキーです」と幸せ顔の田中さんでした。