どれほど高収入であっても、計画的な貯蓄や万一に備えての保険加入など、予測できない事態に備えておきたいものです。夫婦間だけでなく子どもも含めた「お金」に対する意識共有も欠かせないでしょう。本記事では森和彦さん(仮名)の事例とともに、定年がみえてきたころからの老後破産リスクについて、FP dream代表FPの藤原洋子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、内容の一部を変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
初めて打ち明けた親の経済状況
和彦さんのご家族のケースは特別な事例ではありません。高収入であっても、住宅ローン、教育費、突然の病などによって、思わぬ支出が発生することがあります。豊かな老後を送るためには、早い段階での計画や対策の実行などが重要です。
和彦さんは、ため息をつきながらも、家族で話し合いを行いました。そして、これまでの経緯と厳しい現状を子どもたちに初めて打ち明けました。収入が高かったことで、将来の備えに対する意識が薄く高水準な生活を続けていたこと、住宅ローンや教育費などが退職金で賄えない可能性があること、医療費に対する認識が甘かったこと――。
家族会議が再生の第一歩に
まずは、家計を見直して削減できる支出を洗い出しましょう。まとまった資金である退職金は、安易に繰上げ返済に使用せず、一部を低リスクの投資に回すなど、将来を見据えた活用が望まれます。将来の返済を子どもたち本人が行わなければなりませんが、奨学金の申込を検討すれば、現在の教育費の負担は軽減されるでしょう。
家族でお金に対する意識を共有して、力を合わせて乗り越えていただきたいと思います。
藤原 洋子
FP dream
代表FP