(※写真はイメージです/PIXTA)
高級老人ホームへ…長男の嫁に気遣う生活とはおさらば
Aさん夫婦は、70代の仲の良い資産家の夫婦です。高級住宅街に長男一家と住んでいましたが、将来のことを考え、夫婦2人で高級老人ホームに入居することに。Aさんの妻と長男の嫁は決して仲が悪いことはありません。しかし、「これで長男の嫁に気を遣うこともないわ」とAさんより妻のほうが施設への入居に積極的でした。
Aさん夫婦が入居を希望する施設は、いわゆる「高級老人ホーム」と呼ばれる部類で、入居時の一時費用だけで数千万円かかります。2人は長男と相談し、都心から電車で1時間以内、入居費のほかに月額30~40万円程度の施設を複数ピックアップしてもらいました。年金は月額約30万円、総資産5億円と、経済的に余裕があるAさん夫婦とはいえ、なにせ高い費用ですから失敗したくありません。それぞれ体験入居や見学のプランを利用して、住み心地や食事内容などを実際に体験することで比較検討することにしました。
そうして準備に1年ほど時間をかけ、気に入った施設を見つけることができました。いよいよ入居するホームへの転居を決めたのです。
2人は1LDKの部屋に入居し、ホテルライクな生活をスタートさせました。入居して1ヵ月も過ぎたころには、施設内で気軽に話せる友達もでき、2人の生活はさらに楽しいものになっていきました。特にAさんの妻は「嫁に気を遣わなくていいから最高だわ!」と大喜びです。
友人も増え、ますますホーム生活が楽しくなってきたころ
有名シェフが駐在する施設内のレストランで食事をとることの多いAさん夫婦。最近では友人夫婦も増えたため、レストランで同じテーブルを囲む機会が増えました。
この日も、年齢が近く気の合うBさん夫婦と、ランチをともにすることになったのです。
会話も楽しく盛り上がっていたのですが、食後のコーヒーのときにBさんがAさんの妻に向かって「Aさんの奥さんは女優の〇〇さんに似てますね。旦那さんがうらやましいですよ」といいました。
「そんなことないですよ」「全然似てませんよ」などと笑って盛り上がったのは、Bさんの妻以外の3人です。Bさんの妻はそれから話さなくなり、コーヒーを飲み終わると、「あなた、そろそろ部屋に戻りましょう」といって席を立って行ってしまいました。