駐車場投資のデメリット
駐車場投資は手軽に始められる反面、居住系の不動産投資と比較して注意すべき点もあります。ここでは、駐車場投資のデメリットを4つ紹介します。
収益が立地や需要に左右されやすい
駐車場投資の収益は、その立地や周辺の需要に大きく依存します。
例えば、駅前や商業施設の近く、オフィス街といった需要の高いエリアでは安定した利用が見込めますが、住宅地や郊外など車の出入りが少ない場所では、稼働率が低下し収益が不安定になる可能性があります。特に新たな駐車場が近隣にオープンした場合には、競合によって利用者が分散し、思うような利益を得られないケースもありえます。
そのため、単に空いている土地があるからという理由だけで始めるのではなく、周辺環境や車の流入状況、近隣施設の競合状況などを綿密に調査し、事前に収益シミュレーションを行うことが非常に重要です。
建物がない場合は節税効果が限定的
駐車場投資においては、課税・非課税の区分が税務上の大きなポイントとなります。例えば、アスファルト舗装や駐車区画の設置がある場合や、自転車駐輪場や資材置き場として使用しているケースでは、事業性が認められ「事業用貸付地」として課税対象になります。一方で、いわゆる青空駐車場のように更地のまま貸し出している場合や、更地を借りた人があとから舗装した場合は、「単なる土地の貸付」として非課税扱いになる可能性があります。
さらに、税務上の扱いは減価償却の面にも影響します。例えば、アパートやマンションなど建物付きの不動産投資であれば、建物部分を耐用年数に応じて減価償却することが可能です。
しかし、駐車場投資では通常建物を伴わず、土地は劣化せず資産価値が下がらないとされているため、減価償却ができません。ただし、フェンスや舗装、防犯カメラなどの駐車場設備を設置した場合には、それらを「構築物」として資産計上し、5年間で減価償却することが可能です。とはいえ、これらの償却期間は比較的短く、金額も小さいため、建物付きの不動産投資と比べて節税効果は小さくなる傾向にあります。
このように、駐車場投資は税務上の取り扱いによって収支に大きな差が出る可能性があるため、投資前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
土地の固定資産税が高くなる
駐車場として土地を活用する場合、土地の固定資産税が高くなることにも注意が必要です。特に市街地の広い土地を駐車場にしていると、年間の固定資産税だけで相当な金額になることがあります。
住宅用地として使用している場合には、固定資産税の軽減措置が適用されます。例えば、一般住宅用地の場合、固定資産税評価額の3分の1が固定資産税となります。また、小規模住宅用地(200㎡以下)では課税標準額が固定資産税評価額の6分の1、それ以外は3分の1とする特例措置があります。しかし、駐車場として利用する場合、非住宅用地となるため軽減措置が適用されず、結果として税負担が増える傾向にあります。
ただし、例えば、以下の場合には、駐車場においても土地にかかる固定資産税の軽減措置や非課税の扱いが認められることがあります。
・住宅と一体利用されている駐車場:アパートやマンションの敷地内にあり、その建物と構造上・利用上一体と認められる場合などの条件を満たした場合、住宅用地の特例が適用される。
・土地の課税標準額が30万円未満:非課税となる。
このように、駐車場投資では固定資産税の扱いが収益性に与える影響が大きいため、収益とのバランスを事前に確認し、税金を含めたランニングコストのシミュレーションを行うことが非常に重要です。
競合との差別化が難しい
駐車場投資は、設備やサービスの面で大きな差別化がしづらい点がデメリットの一つです。屋根の有無や防犯カメラの設置といった要素である程度の特徴づけは可能ですが、基本的には「安くて使いやすいかどうか」が利用者の判断基準となるため、最終的には価格競争が起きます。
周囲に同様の駐車場が多いエリアでは、利用料金の引き下げによる集客を余儀なくされ、結果として収益性が悪化するリスクがあります。そのため、参入前には必ず周辺の競合状況を調査し、需要に対する的確な分析をしておくことが不可欠です。

