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トランクルーム経営は、他の不動産投資と比較して低コストで始められることから土地活用を目的とした不動産投資初心者にも人気があります。一方で、「儲からない」と評価されることもあります。本コラムでは、トランクルーム経営が「儲からない」と言われる理由や、トランクルーム経営のメリット・デメリット、トランクルーム経営に向いている人の特徴を詳しく解説します。

トランクルーム経営は儲からないと言われる理由4選

トランクルーム経営は、比較的低コストなことから気軽に始めやすい不動産投資である一方、「儲からない」と評価されることもあります。以下からは、トランクルーム経営が儲からないと言われる理由を4つ紹介します。

 

①立地を間違えると稼働率が上がらない

トランクルーム経営において最も重要とされるのが立地です。トランクルームを利用する人の多くは近隣エリアの住人です。いくら設備やサービスを充実させても、周辺に需要がなければ利用者が集まらず、稼働率が悪くなります。特に住宅地から離れた場所や交通のアクセスが良くないエリアでは、利便性が低いため契約数が伸びづらく、なかなか儲からない可能性があります。

 

また、用途地域によってはトランクルームの設置そのものが制限されるエリアもあります。トランクルームは建築基準法で「倉庫業を営まない倉庫」に分類されており、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域(2階以下は可)」では設置ができず、市街化調整区域でも設置は不可になります。知らずに準備を進めると計画が頓挫してしまうこともあるため注意が必要です。

 

このように、立地や法的な制限がトランクルーム経営の成否を大きく左右するため、慎重なリサーチが求められます。用途地域の概要や用途地域ごとの制限等については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

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②初期投資や維持費の割に利回りが低いケースがある

トランクルーム経営は、比較的低コストで始められると紹介している情報サイトも多いですが、実際にはそれなりに初期費用が必要になります。同じ不動産投資であるマンション投資やアパート投資などと比べると初期費用が抑えられるため、低コストで始められると紹介されることが多いです。トランクルーム経営では、屋外型であれば設置に地盤整備や輸送費がかかり、屋内型であれば内装工事や空調・セキュリティ設備の導入が初期費用として必要になります。

 

また、事業開始後も定期的な修繕費や防犯カメラのメンテナンス、保険料、電気代などの管理費用が継続的に発生します。さらに、トランクルーム経営は居住系不動産への投資などと比較すると収益性も大きくありません。トランクの広さや立地、個数によっても金額設定は変わりますが、1個あたりの賃料はだいたい数千~2万円程度が一般的です。

 

また、立地等にもよるものの、満室稼働までに時間がかかること一般的で、なかなか稼働率が上がらずに当初期待していた収益を得られず、資金繰りが苦しくなるケースもあります。

 

③競合が多く価格競争に陥りやすい

トランクルーム経営は、土地活用の一つとして知られており、特に屋外型であればマンションやアパートのような複雑な建築工事もなく、コンテナを設置するだけで物件を確保できます。それに加え、室内に必ずしも電気・ガス・水道などのライフラインを引く必要もなく、運営管理もしやすいことから、競合が参入しやすい分野でもあります。

 

その結果、需要の高いエリアでは、同一地域内に複数のトランクルームが乱立する状況も見られるようになりました。競合が増えると、利用者の取り合いが起きて価格競争に発展したり、稼働率が上がらずに思うような収益を得られなかったりする可能性があります。

 

また、大手事業者が参入している地域では、ブランド力や広告費を活用して集客を図るため、中小規模の事業者は価格を下げざるを得ない状況に追い込まれることもあります。料金を引き下げることで契約を増やせたとしても、利益率が圧迫され、結果的に長期的な経営に支障をきたす可能性があります。

 

このように、特に競争が激化している市場では、期待収益を確保することが難しくなっているのが現状です。

 

④短期償却による節税メリットが使えない

以前までトランクルーム経営は、減価償却によって高い節税効果が得られる投資手法として注目を集めていました。コンテナ施設を「器具備品」として計上することで、7年間で償却することを前提としていたためです。

 

しかし近年、国税庁は、構造上の耐久性があり建築確認を取得しているとの理由から、トランクルームを「建物」として扱うとの指導を強めています。その結果、トランクルームの耐用年数は構造などによって異なるものの19年から31年となり、短期償却による節税メリットはほとんど受けられなくなりました。

 

実際に、トランクルーム用コンテナを「器具備品」として償却できることを前提に販売等を行っていた会社が、税務当局によりトランクルームを「建物」と認定され、顧客からコンテナを買い取る措置を講じたという事例もあります。

 

現在でもトランクルーム経営に伴う経費を計上できるなど、完全に節税効果がなくなったわけではありませんが、以前のように短期償却による節税効果を期待できなくなった点はあらかじめ理解しておく必要があります。

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