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不動産投資において賃料査定は投資判断の基礎となる非常に重要なプロセスです。そのため、賃料査定で重視されるポイントを理解しておき、慎重に手続きを進める必要があります。本コラムでは、賃料査定の種類や評価ポイント、具体的な流れや注意点を詳しく解説します。

賃料査定の流れ

賃料査定は、不動産投資における収益性を見極めるうえで極めて重要なプロセスだからこそ、慎重に手順を踏んで進める必要があります。以下からは、不動産会社に賃料査定を依頼する際の流れを詳しく解説します。

 

物件に関する情報を整理

不動産会社に賃料査定を依頼する前に、まずは物件に関する基本情報をしっかりと整理しておくことが重要です。

 

間取りや専有面積、築年数といった建物の概要はもちろん、オートロックやエレベーター、宅配ボックスなどの共用設備、エアコンやシステムキッチンといった専有部分の設備についても詳細を把握しておきましょう。

 

物件を購入した際の重要事項説明書や販売パンフレット等に記載されていることが一般的ですが、物件購入後に設備が交換されていることもあるため注意しましょう。

 

これらの情報は、査定を行う不動産会社が物件の価値を判断するうえで基礎となるものであり、不備があると査定の精度にも影響を及ぼします。

 

例えば同じ間取りでも、設備の新しさや使い勝手の良さによって賃料水準は変わってくるため、図面や契約書などを基に情報をまとめておき、査定依頼時にスムーズに提出できるよう準備しておくことが大切です。

 

レントロールについては、下記の記事で詳しく解説しています。

 

【関連記事】レントロールとは?各項目の内容や確認すべきチェックポイントを解説

 

類似物件の調査

物件の適正な賃料を知るには、全てを不動産会社に委ねるのではなく、自身でも周辺の類似物件の賃貸情報を調べておくことが欠かせません。あくまで目安ではありますが、この段階で大まかな相場感を持っておくことで、不動産会社の査定結果が妥当かどうかを判断する基準になります。

 

賃料査定の基準となる「類似物件」すなわち物件の立地、築年数、専有面積、間取り、最寄り駅までの距離、構造、設備内容などが自身の物件と似ているものや、マンションの査定であれば、同じ棟内の別の部屋などを参考にし、目安となる賃料水準を調査しておきましょう。また、相場を調べていくなかで、その地域における賃貸需要の動向や空室リスクの傾向についても把握できるため、その後の投資判断にも役立ちます。

 

不動産会社に簡易査定を依頼

物件の情報を整理して相場感もある程度把握できたら、次のステップとして不動産会社に簡易査定(机上査定)を依頼します。

 

このとき、一括見積もりサービスなどで複数社からの意見を比較することで、極端に高すぎたり低すぎたりする査定結果を見極めることが可能になります。また、不動産会社によっては得意とする地域や物件タイプに差があるため、広く見積もりを集めることで、より適切なパートナーを選ぶ判断材料にもなります。

 

相見積もり(複数社での見積もり)は少々手間がかかりますが、根拠のある査定につなげるための重要な作業です。

 

簡易査定の結果を確認

簡易査定の結果が出たら、提示された賃料がどのような根拠に基づいて算出されたのかを確認しましょう。査定結果は、単なる数字だけで判断せず、査定根拠として示されている周辺の事例物件が、周辺相場よりも高い賃料や逆に低い賃料の物件でないかを検証することが大切です。

 

周辺相場よりも賃料が高い物件が記載されていれば、それに引っ張られるように査定額も高く試算されている可能性があり、周辺相場よりも賃料が低い物件が記載されていれば、査定額は低く試算されている可能性があることから、その妥当性を検証しないことには適切な賃料は見えてきません。

 

不動産会社に訪問査定を依頼

簡易査定の結果を確認したうえで、信頼できる不動産会社に対して訪問査定を依頼します。訪問査定により、正確で個別性を反映した査定結果を得られるだけではなく、担当者から今後の賃貸運営についてアドバイスをもらえることもあります。

 

訪問査定は、査定の最終段階ともいえるプロセスであることから、査定実績が豊富で多くの情報を持つ不動産会社やそのエリアの賃貸マーケットを熟知した不動産会社を選び、じっくりと対応してもらうことが重要です。

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