(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資において賃料査定は投資判断の基礎となる非常に重要なプロセスです。そのため、賃料査定で重視されるポイントを理解しておき、慎重に手続きを進める必要があります。本コラムでは、賃料査定の種類や評価ポイント、具体的な流れや注意点を詳しく解説します。

賃料査定で評価されるポイント

(画像:PIXTA)
(画像:PIXTA)

 

賃料査定では、物件そのものの魅力だけでなく、周囲の環境や地域の需要など、さまざまな観点から評価が行われます。以下からは、賃料査定で評価されるポイントの代表例を紹介します。

 

物件の立地

物件の立地は賃料査定において最も重視されるポイントの一つです。最寄駅からの距離のほか、途中の道のりが坂道か平坦かどうか、街灯が十分にあるかといった細かな要素も評価対象となります。

 

住みやすさの観点からは、周辺にスーパーやコンビニエンスストア・ドラッグストア、学校や病院などの日常生活に必要な施設が揃っているかも重要視されます。また、物件周辺エリアの居住者層も加味されます。例えば、単身世帯が多いのか、ファミリーが多いのか、その人にあった周辺環境が整っているか、こうした立地に関する要素は、物件のスペックそのものを補完する強みになり、査定額を押し上げる要因となります。

 

専有面積や間取り

賃料査定においては、専有面積や間取りの設計も重要な評価ポイントとなります。

 

一般的に面積が広いほど賃料も高くなりますが、単純な面積だけではなく、間取りの機能性や使いやすさも重要です。

 

例えば1Kの部屋であっても、収納が多く動線がスムーズである場合などには、実際の面積以上に快適な住環境として評価されることもあります。反対に、広さはあっても無駄なスペースが多く、生活しにくい間取りだと査定額も下がってしまいます。

 

また、単身者向けやファミリー向けなど、ターゲット層に合致した間取りかどうかも重要です。賃貸需要のある層に合った間取りであれば、より高い賃料査定を期待できます。

 

築年数や設備仕様

築年数は、建物の老朽度や設備の新しさを示す目安となるため、査定の際に必ずチェックされる項目です。

 

一般的には新しいほど高い査定額が期待できますが、築年数だけで一律に評価されるわけではありません。例えば築20年を超える物件であっても、定期的にリフォームや修繕が行われており、内装や水回りが新しく清潔に保たれていれば、高い評価を得られるケースもあります。

 

また、設備についてはオートロックや宅配ボックス、追い焚き機能付きバス、インターネット完備といった現代のニーズに合った設備が整っているかどうかも査定額に影響します。共用部分の清掃状態やエントランスの印象も含め、建物全体の「管理の質」が評価されるため、オーナーとしての管理意識も問われるポイントです。

 

周辺エリアの賃貸ニーズ

賃料査定においては、物件そのものの条件に加えて、周辺エリアの賃貸ニーズの高さも大きな影響を与えます。

 

例えば、大学が近くにあるエリアでは、毎年一定数の学生が部屋を探すため、単身向け物件の需要が高く安定した賃貸経営が見込めます。また、オフィス街の近くであれば会社員向けの需要が、住宅街であればファミリー層の需要が見込まれるといったように、エリアによって適正な物件タイプと賃料水準が異なります。

 

さらに、エリア全体の入居率が高いかどうかも査定に反映されます。賃貸ニーズが弱いエリアや、一定の賃貸ニーズはあるもののそれ以上に物件の供給が多いエリアなどでは入居率が低く(空室率が高い)、強気の賃料だと入居者が決まりづらいことから、査定額も低めに見積もられる傾向にあります。地域の市場動向を踏まえた賃料設定が重要です。

次ページ賃料査定の流れ