民泊を始める際の費用
次に、民泊を始める際にかかる代表的な費用項目について詳しく解説していきます。
物件購入費用・リノベーション費用
民泊を始める際、もっとも大きな出費となるのが物件の購入費用です。特に都市部や観光地では、立地が集客に直結するため、人気エリアの物件は高額になる傾向があります。
中古物件を購入して民泊用にリノベーションするケースも多いですが、その場合は改装費も別途発生します。内装の美しさや機能性は宿泊者の満足度に影響するため、集客力を意識したリフォームが重要です。
家具・家電・消耗品の購入費用
宿泊者が快適に過ごせるためにも、家具や家電の整備は欠かせません。ベッドやソファ、ダイニングテーブルといった大型家具のほか、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、洗濯機などの家電製品も必要になります。さらに、タオルやシーツ、トイレットペーパー、シャンプーなど、消耗品の初期備品も一式揃えましょう。
設備や備品の質が宿泊者の満足度やレビュー評価に直結するため、安価なものだけでなく、使いやすさやデザイン性も考慮して選ぶことが求められます。
届出・許可にかかる費用や民泊運営代行費用など
民泊の運営には行政による許認可が必要となりますが、そのために必要な図面や書面の作成、消防法令適合通知の取得などには、専門的な知識が必要となります。こうした手続きを行政書士や専門業者に依頼する場合には、その報酬や手数料も費用として計上しましょう。
さらに、日々の運営を専門業者に委託する場合には、月額制または予約数に応じた歩合制の費用が必要となります。
民泊で使えるローン3選
このように民泊を始める際には、初期費用としてまとまった資金が必要になるため、自己資金だけでまかなうのが難しいです。自己資金のみで賄えない場合はローンの活用が必要になります。
以下では、民泊で利用できる代表的なローンについて、それぞれの特徴や注意点を解説していきます。
住宅ローン
住宅ローンは、「自己居住」を目的としたローンなので、一般的に他のローンと比べて金利が低く、返済期間も長く設定できます。そのため、民泊を開業するための物件購入に対して利用することはできません。ただし、建物全体の50%以上を自己居住用として自ら居住し、残りの部分を民泊として活用する場合は融資を利用できる可能性もあります。
また、すでに住宅ローンを利用している物件で新たに民泊を始めようとする際には、金融機関との契約条件に違反してしまい、一括返済を求められるリスクもあります。民泊運用を検討する場合は必ず事前に金融機関と相談し、許可を得たうえで進めるようにしましょう。
自己居住用の住宅を居住用と事業用で所有する場合について、次のコラムで詳しく説明しています。
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民泊事業ローン
民泊事業ローンは、民泊運営を明確な目的とした専用のローンで、近年需要の高まりとともに一部の金融機関で取り扱いが進んでいます。物件の購入資金だけでなく、リフォーム費用や家具家電の導入費用、さらには運営に必要なシステムの導入費用などにも使えるため、用途の柔軟性が高いローン商品です。
また、事業用ローンとして扱われるため、物件の居住要件などがなく、純粋な投資物件での民泊運営にも対応できるという利点があります。ただし、審査は比較的厳しく、事業計画書や収支シミュレーション、本人の信用情報などが詳細に確認されます。将来的な返済能力を証明できるよう、しっかりと準備をしておくことが重要です。
事業用ローン
事業用ローンは、民泊に限らず、幅広い業種の事業資金として利用できるローンであり、法人・個人事業主を問わず申請することが可能です。民泊を不動産投資や収益事業の一環として行う場合には、この事業用ローンを活用することで、物件取得から改装、運営資金までを一括してカバーすることができます。
民泊事業ローンと似ていますが、より幅広い目的に対応できる点が特徴で、民泊と他の用途を組み合わせた複合的なビジネスプランにも適しています。金融機関によっては、設備資金や運転資金に応じて融資枠を設定することもあり、柔軟な資金調達が可能です。
ただし、審査においては事業の実現性や収益性、本人の経営経験などが問われることが多いため、事業計画を丁寧に作成し、信頼性を高めることが融資決定のポイントとなります。

