民泊を始める場合の11のステップ
以下からは、民泊を始める際の流れを11のステップに分けて解説します。
ステップ① 開業資金を確保する
まずは、民泊を始めるために必要な開業資金を確保しましょう。物件の購入費もしくは賃貸による費用(敷金・礼金・初期費用)などのほか、すでに所有している物件を活用する場合にも、リフォーム費用や家具・家電の新調などの設備投資が必要です。
詳細は後述しますが、初期段階では少なくとも数百万円単位の開業資金が必要となるケースが多いため、自己資金の確保や借入れの計画などを事前に立てておくようにしましょう。
自己資金だけで賄えない場合は、出資や借り入れ、融資、補助金などの利用も検討しましょう。詳細はステップ⑥で解説します。
ステップ② 運営会社の受託条件を確認する
民泊の運営は自分で行うことも可能ですが、清掃手配や予約管理、ゲスト対応などの業務は手間がかかるため、多くのオーナーが専門の運営代行会社に業務を委託しています。
事前に複数の運営会社を比較・検討し、どのようなエリアや物件に対応しているのか、どこまでの業務を担ってくれるのかといった対応範囲に加え、手数料などの受託条件を確認しておくことが大切です。
ステップ③ 民泊可能な物件を選ぶ
民泊を始める際、物件選びは非常に重要です。まずは条例や管理規約などによって民泊として営業できる条件を満たしている物件を探すことが大前提となります。
もっとも、トラブルを避ける意味では、集合住宅ではなく戸建てや一棟物件を選ぶ方が現実的といえるでしょう。
ステップ④ 法規制や管理規約を確認する
ある程度物件の目星がついたら、民泊に関する法律のほか、各自治体の条例や、物件自体の管理規約を確認しましょう。
この際、準拠法令に応じて床面積や営業可能日数、設置すべき設備なども異なるため、状況に応じて弁護士や民泊管理会社など、専門家の力も借りながら法令等を確認することをおすすめします。
ステップ⑤ 事業計画を作成する
次に、事業計画を作成します。事業計画は、事業の内容や収支計画、具体的な活動を時系列化して明確にすることで事業可否判断の基となるほか、金融機関からの資金調達を行う上でも重要な資料となります。どの物件をいくらで購入・改修し、年間の稼働率や宿泊単価をどの程度見込めるか、運営会社への手数料や清掃費用、固定資産税、ローン返済などの支出を含めた詳細なシミュレーションを行いましょう。
この際、収入の見込みが高くても、オフシーズンの稼働率やキャンセル、クレーム対応などの要因で収益が安定しないリスクもあるため、複数のシナリオで損益分岐点を確認しておくことが重要です。
ステップ⑥ 金融機関への融資相談
続いて、金融機関でローンの借入れについて相談します。民泊事業は一般的な不動産投資よりも安定性が低いと判断されやすいため、融資審査が厳しくなる傾向にあります。また、民泊新法は2018年に制定されたばかりなので、民泊専用のローンとして取り扱っている銀行は多くありません。
住宅ローンを民泊用物件に利用することはできないため、事業用ローンや投資用ローンを利用することとなりますが、これらのローン商品は事業計画書などの書類の提出を求められることもあります。「民泊事業ローン」を扱っている金融機関も含め、融資を受けることを検討している場合は早い段階で相談を始めることをおすすめします。
ステップ⑦ 近隣への説明を行う
民泊を運営するためには、行政への許認可だけではなく、物件の周辺住民への説明も大切なステップです。法律上は義務づけられてはいないものの、ほとんどの自治体で周辺住民への周知・説明が条例により義務づけられています。
仮にこのような義務がない場合であっても、民泊を始めるにあたっては、管理体制等についてきちんと近隣住民に説明する機会を設け、地域と良好な関係を築くようにしましょう。
ステップ⑧ 物件を購入する
事業計画が固まり、融資の目処が立ったら、いよいよ物件の購入手続きを進めます。民泊用物件として適しているかどうかを再確認したうえで、契約条件や引き渡し時期などを売主と調整しながら進めていきましょう。
購入後すぐにリフォームや設備投資が必要になることが多いため、施工業者の手配や資金の確保も事前に進めておくことが必要です。
ステップ⑨ 届出・許可申請を行う
物件を確保したら、準拠法令に応じた許認可を取得します。基本的に、簡易宿所型民泊の「許可」を取得するのが最も難しく、特区民泊の「認定」、民泊新法に基づく「届出」と続きます。
旅館業法(簡易宿所)に基づいて民泊を開業する場合は、民泊を行う建物が所在する都道府県の保健所に申請をします。国家戦略特区法(特区民泊)に基づいて民泊を開業する場合は、都道府県知事または市町村長から「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」について「認定」を受け、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいて民泊を開業する場合は、管轄する都道府県知事に「届出」を行います。
許認可の取得にあたっては、消防法令適合通知書の取得や保健所への確認なども含めた一連の法的手続きが必要となるため、専門業者や行政書士に依頼するのがおすすめです。
ステップ⑩ 内装や設備を整える
民泊運営の準備として、宿泊者が快適に過ごせる空間づくりは欠かせません。宿泊者の満足度を高めることが、リピート利用や高評価レビューにつながり、結果として集客力の向上にも直結します。
内装やレイアウトのほか、Wi-Fiの完備や多言語対応の案内冊子、チェックイン方法の明確化など、ストレスなく利用できる工夫も重要です。また、清掃のしやすさやメンテナンスの手間も考慮した素材選びもポイントとなります。
ステップ⑪ 集客・運営を始める
すべての準備が整ったら、いよいよ民泊運営をスタートさせます。まずは、OTA(Online Travel Agency)と呼ばれる予約サイト、例えばAirbnbやBooking.comなどに物件情報を登録し、写真や説明文を充実させます。特に写真は印象を左右する重要な要素となるため、プロの写真家に依頼することも検討しましょう。
また、料金設定は周辺相場やシーズンを意識し、柔軟に調整していくことがポイントです。運営開始後は、宿泊者からの問い合わせ対応やチェックイン対応、清掃スケジュールの管理など、日々の業務が発生するため、必要に応じて運営代行会社に業務を委託しましょう。
