リロケーションで必要な費用と税金
リロケーションを行う際には、リロケーション会社に支払う費用や、家賃収入にかかる税金について理解しておく必要があります。ここでは主なコストのうち、リロケーション会社に支払う費用と家賃収入に関する税金について解説します。
リロケーション会社に支払う費用
リロケーションを利用する際には、リロケーション会社に対して様々な費用が発生します。主なものとしては、管理委託申込料や毎月発生する管理手数料、契約締結時に発生する契約事務手数料、そして契約更新時に発生する契約更新料などがあります。
これらの費用はリロケーション会社や契約内容によって異なりますので、事前にしっかりと確認し、見積もりを取ることが重要です。費用と提供されるサービス内容を比較検討し、納得のいくリロケーション会社を選ぶようにしましょう。
家賃収入に関する税金
リロケーションによって得た家賃収入は、税法上「不動産所得」として扱われ、課税の対象となります。そのため、会社員など本業で給与所得を得ている人であっても、不動産所得が20万円を超える場合は、家賃収入を含めた所得を毎年確定申告する必要があります。不動産所得の計算では、家賃収入から必要経費を差し引いた額が課税対象となり、この経費には管理手数料や修繕費、固定資産税、火災保険料などが含まれます。
適切に経費を計上することで、課税額を抑えることも可能です。しかし、申告を怠ると延滞税など追徴課税の対象になる可能性があります。早めに準備を進めるとともに、不安な場合には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
リロケーションで知っておくべき注意点
リロケーションは、気軽な不動産投資である一方、運営にあたっては注意すべきポイントもいくつかあります。メリットだけではなくデメリットも把握した上で、適切に準備を進めるようにしましょう。
住宅ローンの返済中は金融機関の許可が必要
リロケーションを行う際、対象の物件において住宅ローンが残っている場合は、必ず事前に融資を受けている金融機関の許可を得る必要があります。
住宅ローンは原則として「自己居住用」を目的とした住宅に対して貸し出されるものであり、無断で第三者に貸し出すことは契約違反とみなされ、残額の一括返済を求められる可能性もあります。
したがって、リロケーションを検討している段階で現在借り入れている金融機関へ相談し、事前の承諾を得ておきましょう。許可が下りるかどうかは個別の相談内容を踏まえた金融機関ごとの判断となるため、手続きには時間的な余裕を持つことが大切です。
住宅ローン控除を使えない
住宅ローン控除は、原則として本人またはその家族が居住する住宅に適用される制度であり、リロケーションによって自宅を第三者に貸し出している期間は、この控除の適用対象外となります。仮に住民票を残していても、実際に居住していない場合には住宅ローン控除を受けることはできません。
リロケーションを開始する前には、控除が停止された場合のシミュレーションも行い、キャッシュフローに問題がないかをしっかりと確認することが重要です。
入居者がすぐに決まるとは限らない
リロケーションでは物件を貸し出す期間があらかじめ決まっているため、入居希望者が限られます。一般的な賃貸物件と比べて入居者の募集に時間がかかることもあります。特に立地や築年数、間取りなどの条件が入居希望者のニーズに合わない場合、なかなか入居者が見つからず、空室期間が長引くリスクも考慮しなければなりません。空室が続けば家賃収入を得られず、リロケーションの目的である収益化が難しくなります。
そのため、リロケーション会社に依頼し、魅力的な物件情報の提示や的確なターゲットへのアプローチを行ってもらうことが効果的です。
一般的な賃貸物件より家賃設定は安くなる
貸出期間が限定されるため、毎月の家賃が周辺相場よりも安くなる傾向にあります。入居者にとっては短期間の居住という条件がネックになり、物件選びに慎重になる傾向があります。空室期間が長引かないように賃貸人は競争力を高めるため、相場よりやや低めの家賃で募集をかけるケースが一般的です。
したがって、リロケーションにおいては、収益性だけに注目するのではなく自宅を有効活用するという観点からバランスの取れた判断をすることが重要です。家賃設定については、地域の相場やリロケーション会社の意見を参考にしながら、適切な金額を検討するようにしましょう。
部屋や設備が損耗する
リロケーションでは、自宅に他人が住むことで部屋や設備の損耗が避けられない点にも注意が必要です。家具や設備が使われることによって汚れや傷がつくことは自然なことであり、特に長期間の貸し出しになるほど劣化のリスクは高まります。
こうした損耗に備えて、原状回復費用の取り決めや火災保険・家財保険への加入は必須です。しかし、たとえ第三者への貸し出しをせず、空室のまま放置したとしても湿気や害虫などによる損耗が進むため、必ずしも居住による使用が一方的に不利とは限りません。
損耗の程度は立地条件や入居者の使い方によっても変わるため、入居者との契約内容を明確にし、トラブルのない形で退去・修復が進められるよう準備しておくことが求められます。

