結婚や子どもの出産を機に、「マイホーム」の購入を検討する人は多いでしょう。実際、総務省の調査によると、日本の持ち家率は約61%と、「持ち家」と「賃貸」の比率では持ち家派のほうが多いのが現状です。しかし、マイホーム購入を機に「思わぬトラブル」に見舞われるケースも少なくないようで……。FP Office株式会社の宮本誠之FPが事例をもとに、その具体的な問題と解決策について解説します。
あら、おかえりなさい…年収700万円の41歳サラリーマン、念願のマイホーム購入から1年で“自宅恐怖症”に。原因は「リビングでくつろぐ69歳・義母」の存在【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

徐々にエスカレートする義母の“善意”

Dさんの“善意”は次第にエスカレートしていきます。いつからか義母は夫婦の自宅へアポなしで訪れるようになり、玄関の鍵を開けて勝手に家に入ってくることもしばしば。Aさんが仕事から帰宅すると、義母がリビングでくつろいでいる、といった状況も珍しくなくなりました。

 

最初は「孫に会いたい気持ちが強いんだな」と大目に見ていたAさんですが、義母の言動は夫婦のプライベートを侵食していきます。

 

Aさんの書斎に勝手に入り、机の上の書類を片づけ、本棚の配置を変える。夫婦の寝室にまで足を踏み入れ、ベッドメイキングをしたり、クローゼットのなかを整理する……。Aさんが「ここは触らないでほしい」と伝えても、「あら、きれいにしてあげようと思っただけよ」と悪びれる様子はありません。逆に、「せっかくやってあげてるのに」と不満げな顔をされます。

 

食卓でも、義母はAさんの食生活に口出しをするようになりました。「もっと野菜を食べなさい」「そんなにビールばかり飲んで」など、まるで自分の子どもに接するようです。

 

また、Cくんの育児についても、夫婦の教育方針とは異なる意見を述べ、強引に自分のやり方を押しつけるようになりました。長男が泣き出すと我先に抱き上げ、「パパは下手ねぇ」とAさんを批判します。

妻に助けを求めるも一蹴…精神的に疲弊したAさんの末路

義母のこうした“暴走”に、Aさんは妻のBさんに助けを求めました。しかし、妻と義母は親友のように仲がいいことから、あまり問題には感じていない様子です。

 

「ママがCを見てくれるおかげであたしも働けるし、ちょっとくらい我慢してよ」

 

(たしかに家計は潤っているが、このままじゃ俺が壊れてしまう……)

 

常に義母の視線を感じ、プライベートな空間も時間も確保できない日々。Aさんは仕事から帰る道すがら「今日も義母がいるかもしれない」と吐き気を催すようになりました。

 

休日も「義母が突然訪問してくるかもしれない」という恐怖から、妻と子を連れて外出するようにしていましたが、それも単なる“応急処置”で、根本的な解決には至りません。

 

「あら、おかえりなさい。遅かったじゃない」

 

義母の声に、背筋が凍る日々。「夢のマイホーム」は購入してわずか1年で「悪夢の場所」へと変貌してしまいました。