「いつかはマイホームを」そう夢見る人は多いでしょう。しかし昨今、マイホームは買うか買わないかを選ぶのではなく、「そもそも買えない」と、夢さえ見られない人が増えつつあります。本記事では、伊達有希子氏の著書『夫婦と子ども2人、世帯年収650万円。どうしたら家が買えますか?:マンガでわかる!一生お金に困らないライフプランのつくり方』(大和出版)より、マイホーム購入時に後悔しないために知っておくべきお金の知識、そして「買わない」という選択肢まで徹底解説していきます。
マイホームが買えない時代…世帯年収500万円の夫婦が家を買う方法。切り札は「妻」 (※写真はイメージです/PIXTA)

どうせ買うのなら早く買うべき?

ここまでの話を読むと、不動産価格は年々上がっているし、若いほうが返済期間を長くできるので、買うのなら早く買ったほうがいいのではないか!?と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか? その考え、ちょっと待ってください。

 

家は夢や目標の1つではあると思いますが、若くして家を買うとその他のライフイベントへの資金が一気になくなってしまいます。人生が計画通りに進めばいいですが、何かアクシデントが起きて大きなお金が必要になるかもしれません。それに、趣味に使うお金もほとんどなく、旅行に行きたくても資金不足で行けなかったら……。こういった観点から、2人とも健康で共働きを続けるという前提条件に基づいて、目いっぱいのローンを組んで家を買うのはおすすめしません。

 

一方で、じゃあ価格が落ち着くまで待てばいいかというと、そういうわけでもありません。待つという選択肢が取れるのは、現金がある人だけです。タイミングを見計らってポンと現金で買えるなら、価格の上下を見て自分の納得のいくタイミングまで待てばいいですが、多くの方は住宅ローンという負債を背負って家を買うことになります。

 

そうである以上、家を買う前にはきちんとライフプランをつくることをおすすめします。不動産会社は、貯蓄の額や、その持ち方(現金・有価証券・保険など)について確認する程度で、あなたの他のライフイベントのことまで考えませんし、返済比率などのことは上限を超えていなければ気にしません。要は売れればいいわけですから。

 

そのため、自分でマネーリテラシーを身につけて、判断できるようになる必要があります。

ローン設定時に押さえておきたいポイント

ローンを組む前にマネーリテラシーを身につけていただきたいことは当然として、FPの立場からアドバイスしたいことを3点述べておきます。

 

1.貯蓄は使わずに毎月の収入でやり繰りするのがベスト

頭金を入れるかどうかはその家庭によりますが、なるべくなら手持ちの貯蓄には手をつけずに毎月の収入でやりくりして住宅ローンを支払えるのがベストです。賞与などもあてにせず、毎月支払える額で住宅ローンを設定すると無理がないでしょう。

 

2025年現在、住宅ローン控除は年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除できます。変動金利で借りる場合、優遇金利を考えれば1%以下で借りられる金融機関もあります。ということは、貯蓄を取り崩すようなことはせず、頭金は入れずに、住宅ローンを借りた上で住宅ローン控除を活用したほうが税金面ではメリットがあるということになります。