物価高騰、加速する少子高齢化……山積する社会課題を前に、有効な解決策が見当たりません。光明は見いだせず、絶望的な未来しか見えてこない。そんな私たちにできることは?
もう、手遅れか…月収45万円・52歳サラリーマン「困窮確定の老後」に絶望。もうすぐ日本人を襲う「恐ろしい悲劇」と救われる唯一の方法 (※写真はイメージです/PIXTA)

増え続ける「老後困窮予備軍」

東京都内に住む52歳のサラリーマン・高橋直樹さん(仮名)は、月収45万円。派手な暮らしはしていませんが、都内在住、子ども2人の学費、住宅ローンの返済、そして最近始まった両親の介護——生活は常にギリギリの綱渡りです。

 

「老後資金? 正直、貯められる余裕なんてないですよ」

 

そう話す高橋さんのような詰み状態にあるのは、決して少数派ではありません。人口ボリュームの大きい「団塊ジュニア世代」の代表例なのです。

 

1971年から1974年に生まれた人たちを指す団塊ジュニア。2025年時点で51~54歳になる人たちです。

 

内閣府『令和6年版 高齢社会白書』によると、2023年時点で65歳以上の高齢者人口は約3,623万人、総人口に占める割合は29.1%。この高齢化傾向はさらに進み、2040年には34.8%に達する見通しです。そしてこれからの高齢期を迎えるのが「団塊ジュニア」。人口ボリュームが大きいだけに、そのインパクトは大きいといわれています。

 

この世代は就職氷河期が直撃し、安定した雇用に就けなかった人も多く、年収が伸び悩んだまま中高年に突入。厚生労働省『令和6年 賃金構造基本統計調査』によると、50代前半男性の平均月収は約42.8万円ですが、中央値はそれよりも低い38.6万円。また昨今の賃上げブームのなかでも、恩恵を受けられていない世代といわれています。

 

長らく「我慢の世代」として働いてきた団塊ジュニアは、現在も教育費、住宅ローンに加えて、親の介護といった出費に追われ、老後資金の準備は後回しにしがち。「よし、これから老後の準備を始めよう」という段階になるのは、定年を迎え、収入が大きく減少したあと。そのような状態では、生活するだけで精いっぱいで、いつまで経っても貯蓄は増えず、仕事を辞めることができない……そんな未来が確定といえる状態の団塊ジュニアが実に多いのです。

「もう親も限界だ」——介護と支援の板挟みで、貯金ゼロの現実

高橋さんは現在、週末に千葉の実家へ通い、要介護2の父親の介護を兄と分担しています。週の半分を訪問介護に頼み、費用は月額で約7万円。介護保険があるとはいえ、自己負担は少なくありません。

 

「介護のために仕事を辞めた同僚もいます。やはり年齢的に体がついてこない。私もいつ、限界が来るか……」

 

最近、義母も要介護となり、妻はそちらにつきっきり。仮に父親の介護が終わったとしたら、次は母親の介護が始まるかもしれない。いつまで続くかわからない介護生活に、絶望感を覚えるといいます。

 

また昨今は住宅ローンを完済できないまま定年を迎えるケースも珍しくありません。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)』によると、60代で「借入金あり」は14.1%、70代では7.3%。住宅ローンの残高は、60代で平均733万円、70代で233万円です。昨今、マイホームの取得年齢は上昇の傾向にあり、40歳前後となっています。そこで30年のローンを組んだら……途中、繰り上げ返済を頑張らない限り、定年前にローン負担から解放されるのは難しいでしょう。

 

団塊ジュニアによって、老後安泰は夢のまた夢。困窮確定といっても、決して言い過ぎではないのです。