(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産の売却益は譲渡所得税の課税対象となり、不動産の所有期間に応じて、長期譲渡所得と短期譲渡所得のいずれかが課税されます。長期譲渡所得と短期譲渡所得とでは税率が約2倍変わるため、予期せぬ税負担を抱えてしまう可能性があります。本コラムでは、譲渡所得に関する基本的な考え方のほか、長期譲渡所得・短期譲渡所得の計算方法や、税負担を軽減する具体的な方法を解説します。

長期譲渡所得・短期譲渡所得の計算例

では、ここまでの計算式を使って、実際に譲渡所得税を計算してみましょう。

 

・譲渡価格(販売価格):4,000万円

・物件購入価格などの費用:3,000万円

・減価償却:1,000万円

・譲渡費用:100万円

・特別控除:なし

 

取得費は、物件購入価格などの費用から減価償却を適用した金額の2,000万円となります。そのため、譲渡所得は、譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額である1,900万円に対して税率をかけて実際の税額を求めていきます。

 

・長期譲渡所得の場合:( 4,000万円-( 2,000万円+100万円 ) ) ×20.315%=約385万円

・短期譲渡所得の場合:( 4,000万円-( 2,000万円+100万円 ) ) ×39.63%=約752万円

 

このように、譲渡所得税の計算においては「いくらで売れたか」だけでなく、「いつ買って、どれだけ保有していたか」が非常に重要な要素になります。

長期譲渡所得税・短期譲渡所得税を軽減する方法

(画像:PIXTA)
(画像:PIXTA)

 

最後に、譲渡所得税等の税負担を軽減する方法を解説します。

 

できる限り長期譲渡所得にする

譲渡所得税は、長期譲渡所得となるか短期譲渡所得となるかによって税率が大きく変わるため、売却する時期を調整できるのであれば、できる限り長期譲渡所得となるように調整しましょう。

 

このとき、所有期間の判断を誤らないように、取得日をしっかりと確認し、売却希望年の1月1日時点で5年を経過しているかを正確に把握することが重要です。

 

取得費のエビデンスを残しておく

基本的なことにはなりますが、実際の取得費を正確に把握しておくことが重要です。全ての費用を漏れなく計上することで過大な課税を避け、適正に納税をすることが可能になります。また、修繕費用など不動産取得後の維持管理費用についても、領収書等の支払った証跡をしっかりと残しておくことが重要です。

 

不動産取引に関する税負担は高額になりがちで、場合によっては売却益を大きく損ねてしまう可能性があるため、税理士など専門家の意見も聞きながらしっかりと対策を練っておくことが重要です。

 

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