(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産売却には高度な専門知識が求められるため、専門家の力を借りつつ進めることが一般的です。しかし、満足のいく売却を実現するためには、売主自身もしっかりと基本的な知識をもっておく必要があります。本コラムでは、不動産売却にあたり注意すべきポイントについて、売却の流れに沿ってわかりやすく解説します。

販売活動を開始する際の注意点

(画像:PIXTA)
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続いて、販売活動を開始する際のポイントを解説します。売り出し価格の設定や価格交渉は最終的な売却価格に大きく影響するため、慎重に手続きを進める必要があります。

 

適正な売り出し価格を設定する

不動産の売却活動において、売り出し価格の設定は非常に重要なポイントです。

 

価格設定の際には、不動産会社から提示される周辺成約事例や査定結果、売り出し事例などを参考にしながら、現実的で適正な価格を見極めることが大切です。さらに、自身の売却目的や希望する売却時期も考慮し、価格とスピードのバランスを取ることが求められます。

 

内覧対応をしっかり行う

内覧は、購入希望者に物件の魅力を直接伝える絶好の機会であり、内覧時の対応は売却活動の成功可否に大きな影響を与えます。

 

特に重要なのは、室内の清掃と整理整頓です。特に水回りや玄関、リビングなどは清潔感を保ち、居心地のよさを演出することが求められます。過度な生活感を減らし、購入後の暮らしをイメージしやすくする工夫も有効です。

 

また、物件のセールスポイントや特徴について、不動産会社にも事前にしっかりと共有しておくことで、購入希望者に対してその物件の魅力を適切に伝えることができます。

 

広告・宣伝の方法を確認する

販売活動を成功させるためには、どのような広告・宣伝手段を使って物件をアピールするかが重要なポイントとなります。不動産ポータルサイトへの掲載が現在の主流ですが、地域性の高い物件であれば、チラシのポスティングや新聞折り込み広告も効果的です。なお、こうした広告活動は不動産会社が主導して進めることが多いですが、売主の希望で特別な広告を行った場合などは広告費用を売主が負担することがあります。

 

不動産会社がどのような販売戦略をとるのかについて事前にしっかりと確認し、自分の意向に沿った内容になっているかを見極めるようにしましょう。

 

価格交渉に備える

不動産取引の現場では、買主からの価格交渉がほぼ確実に行われると考えておくべきです。そのため、あらかじめどこまで値引きに応じるのか、自分のなかで明確なラインを設定しておくことが大切です。

 

不動産会社と事前に戦略を共有し、想定される交渉パターンや対応方法を準備しておくことで、柔軟かつ納得のいく形で売買契約をまとめることができるでしょう。

売買契約を締結するときの注意点

ここでは、売買契約を締結する際の注意点を解説します。この段階で不備があると、のちのち大きな法的トラブルに発展する可能性があるため、何らかの懸念事項がある場合はしっかりと確認し、十分に納得した上で契約締結を進めましょう。

 

契約内容を細かく確認する

不動産売買契約を締結する際には、契約書に記載された内容を細かく確認することが重要です。特に手付金の金額や支払い時期、物件の引き渡し日、違約金の設定などは、後々のトラブルにつながりやすいため、慎重にチェックする必要があります。

 

売買契約は一度締結すると簡単に解除できないため、記載内容に不安がある場合は、事前に司法書士や弁護士に相談しましょう。

 

売買契約書の重要ポイントを理解する

売買契約書には、売主と買主の権利・義務に関する重要な条項が多く含まれています。たとえば「契約不適合責任」は、売却後の物件に不具合が見つかった場合、売主が修繕や損害賠償を負担するリスクのことであり、十分に注意が必要です。

 

売買契約書は一見難解な表現が多く、自分に不利な条件が含まれていても気づきにくいため、事前にポイントを理解しておくことが大切です。以下のコラムで、売買契約書及び重要事項説明書の内容とチェックポイントについて解説していますのでぜひ確認してください。

 

【関連記事】【第2話】売買契約書及び重要事項説明書の盲点とチェックポイント

 

買主のローン審査が通らなかった場合の対処法を考える

不動産売買では買主がローンを利用するケースが一般的ですが、その審査が通らなかった場合の対処についても事前に想定しておく必要があります。

 

多くの契約では「ローン特約」と呼ばれる条項が設けられており、買主のローン審査が否決された場合には、契約を白紙解除できる仕組みになっています。この特約がない、あるいは内容が曖昧なままだと、買主が支払い不能になった際に売主が損失を被るリスクが高まります。ローン特約については以下のコラムで解説しています。

 

【関連記事】不動産売買のローン特約(融資特約)とは?トラブルを防ぐために確認すべき7つの注意点

 

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