(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産売却には高度な専門知識が求められるため、専門家の力を借りつつ進めることが一般的です。しかし、満足のいく売却を実現するためには、売主自身もしっかりと基本的な知識をもっておく必要があります。本コラムでは、不動産売却にあたり注意すべきポイントについて、売却の流れに沿ってわかりやすく解説します。

不動産会社に売却を依頼するときの注意点

以下からは、不動産会社に売却活動を依頼する際の注意点を解説します。不動産会社は売却活動のプロではありますが、すべてを任せきりにせず、疑問があれば都度確認を行いながら、適切にコミュニケーションを取って進めていくことが重要です。
 

複数の査定を比較する

不動産の売却において、まずは「売却予定の不動産がいくらで売れるのか」を知ることが重要です。価格の査定は不動産会社に依頼することが一般的ですが、必ず複数社に査定を依頼し、結果を比較しましょう。

 

査定額は会社によって大きく異なることがあり、なかには売却を受託するために相場より高めの金額を提示するケースもあります。特に、査定額の根拠が不明瞭であったり、無理に高い価格で売却を勧めてきたりする会社には注意が必要です。

 

高すぎる価格設定の会社と契約して売却活動を開始してもなかなか買い手がつかず、価格を下げざるを得なくなるだけでなく売却期間が長期化してしまうケースがあります。そのため、不動産会社が出してきた査定額を鵜呑みにするのではなく、事前に相場価格を調べて、査定額の妥当性について自分自身である程度の見極めができるようにしておくことが重要です。

 

不動産会社選びを慎重に行う

次に、不動産取引をスムーズに進めるためには、信頼できる不動産業者を選ぶことが重要です。

 

不動産会社には、全国に支店を構える大手業者と、地元に密着した地域特化型の会社があり、それぞれに強みが異なります。大手業者は知名度やブランド力、広告力に優れており、多くの買い手にアプローチできる点が強みです。一方、地域密着型の会社は、地域の相場や特性に詳しく、個別対応に優れているケースが多くみられます。

 

どちらにも強みがあるため、過去の売却実績や担当者の対応力、提案内容などを比較することが大切です。実際に電話や面談をしてみて、「どのような方法で、どのような時間軸で、どういった人をターゲットに、何をアピールして売却を進めていくのか」といった具体的な戦略を考えてくれているかどうかを見極め、信頼できるパートナーを選ぶようにしましょう。

 

媒介契約の違いを理解する

不動産会社に売却活動を依頼する際に、不動産会社との間で「媒介契約」を結びます。媒介契約は、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の三種類があり、それぞれ以下のように特徴が異なります。

 

出典:manabu不動産投資 https://manabu.orixbank.co.jp/archives/425

 

一般媒介契約は最も自由度の高い形態であり、複数社に売却活動を依頼できるほか、自分で買主を探す自己発見取引も認められています。一方で、専属専任媒介契約は最も自由度の低い形態で、売却活動は1社にしか依頼できず、自己発見取引も認められていません。

 

不動産投資初心者には、1社のみに売却を依頼でき、自己発見取引が可能な中間的な形態である専任媒介契約が最もおすすめですが、どの契約形態にすべきかについては、売却の方針やマーケット状況により異なります。そのため、以下のコラムを参考に、どの契約形態が最も適しているのかを考える上での参考としてみてください。

 

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査定額と売却価格の違いを理解する

不動産会社から提示される「査定額」は、あくまで直近での成約事例や売り出し事例を基に査定した売れる可能性があると見込まれる金額の目安にすぎません。また、どの事例を参考として査定するかによっても査定額は上下するため、偏りのない適切な事例が選ばれているかどうかをしっかりとチェックしましょう。

 

さらに、実際の売却価格は、市場の需給状況や立地、物件の仕様や管理状態、購入希望者との交渉などにより大きく変動します。

 

そのため、査定額に一喜一憂するのではなく、売却戦略や市場動向と合わせて柔軟に対応する姿勢が求められるほか、周辺の相場を把握した上で、その査定額の妥当性を検証することが重要です。また、査定額と実際の売却価格に差が出ることを前提に、資金計画を立てておくと安心です。

 

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