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平均貯蓄は「1984万円」も…約7割の世帯が届かない現実とは?
総務省が2024年(令和6年)の「家計調査報告(貯蓄・負債編)」の平均結果を発表しました。それによると、二人以上の世帯における1世帯当たりの貯蓄現在高(平均値)は1,984万円と、前年より80万円(4.2%)増加しました。6年連続の増加で、統計上は過去最高額となっています。
一見すると、日本の家計は堅調に見えます。加えて、勤労者世帯に限ってみると、平均貯蓄は1,579万円で、こちらも前年比で105万円(7.1%)の増加。確かに貯蓄額だけを見ると、経済的なゆとりが広がっているようにも思えます。
しかしながら、少し掘り下げてみると、現実はもう少し複雑です。たとえば、貯蓄保有世帯の「中央値」は1,189万円と、平均より約800万円も低くなっています。これは、平均値がごく一部の高額貯蓄層によって大きく引き上げられていることを示しています。実際に、貯蓄現在高が平均の1,984万円を下回る世帯が全体の約3分の2(67%)にのぼるという事実が、このことを裏付けています。
貯蓄の中身を見てみましょう。通貨性預貯金は692万円で、前年より4.8%増加し、16年連続で増えています。すぐに引き出せる預金の積み上げが続いているのは、不確実な時代背景や将来不安の反映とも考えられます。一方、有価証券も377万円と前年より16.7%増加しており、投資志向の高まりも一部で見られます。
ただし、このような数字が国民全体の経済的安定を意味するとは言い切れません。というのも、貯蓄の偏在が深刻化しているからです。たとえば、貯蓄ゼロの世帯を含めた中央値は1099万円であり、実際にはそれ以下で生活する家庭も数多く存在します。実感としての「ゆとり」と、統計上の「数字」との乖離は大きいのが現状です。