悔しい…〈月31万円〉72歳で亡くなった夫の年金がわずか〈月5万円〉に。70歳妻「遺族年金」の冷酷な現実に絶句

（※写真はイメージです／PIXTA）

「繰下げ受給」で大幅増額を狙った夫の決断

東京都在住の山本徹さん（仮名・72歳）由美さん（仮名・70歳）夫婦。原則65歳から老齢年金が受け取れるようになるなか、現在、年金を受け取っているのは由美さんだけ。そこには、徹さんのある思いが。

それは年金事務所から送られてくる書類に記載のあった「年金の繰下げ受給」の説明。そこには、

・年金の受給開始時期は、60歳から75歳まで選択できる

・年金受給を遅らせた場合、年金額が増額する

という説明。さらに「70歳で受け取った場合、65歳と比較して42％増額」、「75歳で受け取った場合、65歳と比較して84％増額」と、何とも魅力的な言葉が並んでいました。

「どちらか一方だけが年金を受け取り、どちらか一方が年金を増やせばいいのではないか」

そう考え、徹さんは繰下げ受給を選択。由美さんの年金、月12万円で慎ましい老後を送っていました。1ヵ月受給開始を遅らせるごとに0.7％の増額――少しずつ増えていく年金を楽しみに、すべては老後の安心のために。しかしそのような思いは叶うことはありませんでした。

徹さん、ある日、交通事故で急逝。「打ちどころが悪く……」。医師の説明に、由美さんは呆然とするしかなかったといいます。

「ちょっと出かけてくると行ったきり。普段は乗らない自転車なんて乗っていくから……本当にバカな人です」

突然の不幸を受け入れることがなかなかできず、葬儀を終えてもただ何もしないまま時間が過ぎていきました。「何もする気が起きなくて――」。ただ、人が亡くなると、やらなければいけない手続きがいろいろ。対象であるもの、対象でないもの、人によってさまざまですが、公的な手続きだけ書き出しても、ざっとこれだけ。さらに相続関連の手続き、クレジットカードや携帯電話などの手続きなど、故人を偲ぶ時間などないくらい、するべき手続きは膨大です。

その事実を知った由美さん。「これはボーとしていられない」と気持ちを切り替えて、一気に手続きを済ませることにしました。