
資産管理デジタル化の潮流
スマートフォン、インターネットバンキングの普及とともに、紙の預金通帳から、デジタル通帳への切り替えを薦める銀行が増えています。ある民間調査によるとデジタル通帳の利用率は50%を超えており、デジタル化の流れは今後も止まらないでしょう。
顧客自らがデジタル通帳への切り替えを望む場合もありますが、金融機関からの積極的な働きかけによって、なんとなく選んでしまうケースも多いように思います。いつでもスマートフォンで銀行残高を確認できるなど利便性が高い一方、デジタルならではの「使いにくさ」も潜んでいるのがデジタル通帳の特徴ともいえます。パソコン、スマートフォンの操作に得手、不得手があるのは想像に難くありません。
今回は、そんなデジタル通帳への切り替えを行った高齢夫婦の事例を紹介していきます。
息子に心配は要らない…資産は自分たちで使って老後を豊かに
75歳のAさんは会社を定年退職後、3歳年下の妻Bさんとのんびりと老後を過ごしていました。一人息子のCさんは10年以上前に自立し、家庭を築き、年収も1,000万円を軽く超えるなど、立派に成長してくれました。日本とヨーロッパを行き来する海外勤務で忙しくしているものの、夫婦共働きのため、経済的な心配をする必要がありません。Aさん夫婦は自分たちの財産を息子に残すことを積極的に考えなくてもよい状況でした。
夫婦で年金月額29万円。Aさん夫婦は、目の前の生活に支障はないものの、旅行などをするための資産にもう少し余裕を持たせたいと考えています。そこで夫婦で相談し、住み慣れたいまの家を維持しながら手元現金を増やし、思い残すことのない豊かな暮らしを選びました。